電力は余ってる 要らねえ
もう要らねえ
電力は余ってる 要らねえ
欲しくない
原子力は要らねえ 危ねえ
欲しくない
要らねえ 要らねえ
電力は余ってるってよ
要らねえ 危ねえ
出典: サマータイム・ブルース/作詞:E.COCHRAN・J.CAPEHART・忌野清志郎 作曲:E.COCHRAN・J.CAPEHART
忌野清志郎はチェルノブイリ原子力発電所事故を目の当たりにし、電力は充分にあるのだから、これ以上日本に原子力発電所はいらない、と謳っています。
このことを東芝EMIが問題視したのです。
なぜならば、東芝EMIの親会社である東芝は原子力発電所を作っているからです。
当時の東芝EMIの社長は、本社から天下りしてきた人物でした。
レコード会社と清志郎との間で何度も協議されましたが、結局折り合いがつかず『COVERS』は発売中止。
親会社とRCサクセションとの板挟みになった当時の邦楽最高責任者・石坂敬一氏は「このアルバムは素晴らしすぎて発売できません」というコピーで発売中止の新聞広告を出しました。
当初の発売予定は1988年8月6日、広島の平和記念日でした。
そしてキティレコードから発売されたのが同年8月15日の終戦記念日。
なぜこんな短期間で別会社からリリースできたのでしょう。それは石坂敬一氏が尽力したからと言われています。
清志郎が危惧した未来、そして今
あくせく稼いで税金とられ
たまのバカンス田舎へ行けば
37個も建っている
原子力発電所がまだ増える
知らねえうちに 漏れていた
あきれたもんだなサマータイム・ブルース
出典: サマータイム・ブルース/作詞:E.COCHRAN・J.CAPEHART・忌野清志郎 作曲:E.COCHRAN・J.CAPEHART
増え続ける原子力発電所
忌野清志郎が危惧した原子力発電所の未来は、残念ながら危惧した通りになってしまいました。
「サマータイム・ブルース」がリリースされた1988年当時、日本にはまだ原子力発電所が37基しかありませんでした。
2017年現在、全国で40基の原子力発電所が稼働中。廃止・解体中が19基となっています。
チェルノブイリで目の当たりにした大惨事が、ここ日本で起きてしまったのです。
30年後の東芝
『COVERS』がリリースされて2018年で30年になります。
原子力発電所、核の恐ろしさを警鐘した忌野清志郎は2009年に死去(享年58)。
アルバムを発売中止に追い込んだ東芝は、2007年にはEMIを手放し、音楽業界から手を引きました。
アニメ「サザエさん」(フジテレビ)のスポンサーを長きに渡って務めてきましたが、2018年3月で降板することが決まりました。
2018年現在、大柱だった原子力発電事業が大打撃を受け会社自体が存続の危機にされされています。
皮肉なもので、RCサクセションのアルバムを発売中止にまでして守った原子力発電事業が、自分たちの首を絞めることとなったのです。
清志郎はもうこの世にいませんが、『COVERS』そして「サマータイム・ブルース」はこれからもずっと残ります。
どんな大企業よりも、音楽が持つメッセージの力のほうが強いことを私たちは見せつけられたのです。
「サマータイム・ブルース」コード譜
RCサクセション版と、オリジナル、エディ・コクラン版の「サマータイム・ブルース」を弾き比べてみてはいかがでしょう。
違いが分かると新たな発見があるかもしれませんね。
音楽が持つメッセージ性は世界共通、すばらしいものなのです。
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