4thアルバム『スポーツ』に収録された一曲

『シーズンサヨナラ』の世界観

冷えた関係の男女が別れのその時、過去を回想して語り合っているシーン。

そこを切り取って描かれています。

冷え切ったとはいえ、やはり未練が垣間見える描写もあり、なかなかドラマチックです。

ちなみに、この曲はギターの浮雲さんが作詞作曲を担当されています。

では歌詞の中身に入っていきましょう。 

勢いを表現するイントロレスな曲

90年代によくみられたイントロのない曲

この曲『シーズンサヨナラ』にはイントロがありません

イントロがないとはどういう思いを表現したものなのでしょうか。

実は、90年代にはそういう『イントロのない曲』というのが多かったのです。

90年代は時代背景的に勢いやストレートさが全面に出ていた時代。

イントロなんて奏ってられねぇ!と言わんばかりに、サビから曲が始まる展開が多かったのです。

GLAYの『口唇』椎名林檎さんの『ここでキスして。』などがその例ですね。

伝えたいことを真っ直ぐ届けたい思いの表れでしょう。

しかし2000年に入ってからは、そのような曲が以前に比べて減ったように感じられます。

時代的にも以前のような勢いもなく、どちらかといえば停滞しているこの時代。

非常に長いイントロや、印象的なメロディを持たないイントロなど、多様性は豊かです。

そんなの中においてイントロなしという選択をしたこの曲。

それには何か理由があったのでしょうか。

イントロを作らなかった理由

季節知らないままさよなら

出典: シーズンサヨナラ/作詞:浮雲 作曲:浮雲

別れの言葉で始まるこの曲。

このフレーズは、この曲のラストの部分と同じです。

この時点では、この言葉が何を意味するのか判断が付かないので、心に留めて曲を聴いていきましょう。

『さよなら』は別れを意味する言葉ですから、以前までは寄り添っていたことがわかります。

その部分について回想を紡いでいくのがこの曲の展開になっています。

そこから考えられる理由はただ一つ。

別れることは決まっていて、過去を振り返る理由もないということです。

なので、含みを持たせる導入部(イントロ)は不要と考えたのでしょう。

これがイントロがない理由です。

90年代はイントロを奏でる時間すら惜しいくらいの勢いでした。

しかしこの曲においては、非常に冷静ですしね。

勢いどうこうではなく、単に余計なことはしないという考えだと思います。

ある種、過去を振り返る曲だから、90年代風のアレンジになったという理由も考えられます。

そういった複合的な理由からイントロのないアレンジとなったと考えます。

別れる前の出来事を回想

絡まり、薄まった関係性

絡まってしまったんだって 気づいたの ほどく手段だなんて
薄まってしまったんだって 目を見たの 囁けないだなんて

出典: シーズンサヨナラ/作詞:浮雲 作曲:浮雲

複雑な問題を解く手段を探すのが馬鹿馬鹿しいと思うほどに薄くなった愛情。

もう見つめ合って囁き声で話すほど近くに寄り添うことすらできないくらいです。

そういうことに気付いてしまいました。

これまでの行動を思い返して気付いてしまった事実。

二人で解決しようと思えないほどに関係が冷めきっている状況です。

この辛辣なセリフがポップなメロディに乗って語られることから、悲しみを感じていないことがわかります。

悲しみを通り越した向こう側。

モヤモヤと迷ったり悩んだりしていた時期はとっくに過ぎ去ってしまっているようです。

時間は今に戻り、過去には戻れないという確信

戻りたいわけではない