時差がある映像
膝を抱えて憧れていたのは
いつかの残像
出典: スタンドバイミー/作詞:北澤ゆうほ 作曲:北澤ゆうほ
目に見える、ということは「光が届く」ということです。
何億光年という距離にいる「君」が奇跡的に見えたとしても、それはリアルタイムの姿ではありません。
過去の「君」、これを「残像」と表現しています。
不在を確認する勇気
スタンドバイミー お願い
僕は 僕は 強くなれるのかな
君が今ここにいなくても
手を伸ばす自信をくれよ
出典: スタンドバイミー/作詞:北澤ゆうほ 作曲:北澤ゆうほ
「そばにいて」と縋りながらも、「君」がいない状況を仮定しています。
リアルタイムでそばにいないのなら、抱き締めてもらうことはできません。
もしも「君」に触れたとしてもそれは過去の「君」。
触れた瞬間に「君はここにいない」と改めて実感してしまいます。
しかし「実感」こそが今の自分に必要だと考えているのでしょう。
いつでもそばにいてくれるはずだ、という思い込みをしていてはいつまでたっても強くなれません。
もうここにはいないのだ、と感じられれば自分の力で何とかしようと思えるようになるのではないでしょうか。
一方で、手を伸ばすことにすら「君」の後押しが必要なようですね。
「君」が頑張れ!と声をかけてくれたら安心して手を伸ばせるのでしょう。
スタンドバイユー お願い
何もかもを取っ払ってしまいたい
涙が雨にさらわれてく
君の熱に抱かれたいだけなんだ
出典: スタンドバイミー/作詞:北澤ゆうほ 作曲:北澤ゆうほ
stand by youを直訳すると「あなたのそばに立つ」という意味になります。
つまり、どうにかして「君」の隣にいられないかと考えているのでしょう。
今は広い宇宙や向こうが見えないガラスに阻まれてしまい、存在が確認できたとしてもそばに行くことは難しいようですね。
この状況で「君」の元へ行き、心配をしてもらい、抱き締めてもらう。
随分と欲張りな欲求に感じます。
欲張りだと分かっているからこそ、「だめだ」「行け」の両思考が混在しているのでしょう。
執着しなければ動けない弱さ
憧れ、依存、執着。
相手がいなければ生きていけないのであれば、それは自身が弱い証拠なのでしょう。
去って行って当たり前?
君のいない部屋で目が覚める
僕がいない知らん顔世界
ほんとはさ気付いてる
人は変わってゆくものでしょう?
出典: スタンドバイミー/作詞:北澤ゆうほ 作曲:北澤ゆうほ
「僕」がいる場所には、過去に「君」がいたのかもしれません。
今は自分だけが取り残されています。
しかし歌詞では「僕がいない」と歌われていますね。これはどういうことでしょうか。
目が覚めたという描写から、朝なのだと考えられます。
新しい一日が始まり、「君」は新しい世界へと消えていきました。
では「僕」はどうでしょうか。新しい自分になれず、古い自分を着込んだまま部屋にいるのです。
新しい世界には新しい「僕」がいない、ということなのでしょう。
いないことすら気に留めてもらえない状況なのです。
日々古い服を脱ぎ捨てて歩き出すのは当たり前のこと。
「君」がいなくなったのも当たり前のことだと分かっています。
共に過ごしていた日々を捨てて急にいなくなるのは、どこか不自然ですね。
「君」がいなくなったのには何か理由があるのかもしれません。
置いていったのは「君」?
さよならなんて聞こえないふりしてたら
置いてかれんだ
出典: スタンドバイミー/作詞:北澤ゆうほ 作曲:北澤ゆうほ
自分のそばにいてくれたはずの存在が離れていく。
その足音は確かに聞こえ、離れていくことが分かったのにもかかわらず、手を伸ばす勇気が出なかったのでしょう。
まるで「君」に責任があるように歌われていますが、実際は「僕」のせいなのかもしれません。