ポストに届いた想い
メールやラインの普及で、あまり交わされることがなくなった手紙。
滅多に手にしないからこそ手紙でもらうとどきりとする想いがあります。
EXILEの歌う「手紙」にはどんなドラマが広がっているのでしょうか。
コトリと音を立ててポストに舞い降りた一通の手紙をめぐる一組の男女の気持ち。
「手紙」に込められた思いを独自に解説していきます。
封を切ると
手紙で伝えたいこと
光る木漏れ日の中
静かに開く手紙
あの風がまた
ここに吹くように
優しく届いた
出典: 手紙/作詞:TAKAHIRO 作曲:Hiroo Yamaguchi
送信するとすぐに届き、相手が読んだかどうかを確認できるラインメッセージ。
それはとても便利なものですが、ときに無粋に感じることがあります。
手紙の場合、便せんを購入するところから始まり、したため、切手を貼って投函するものです。
ちょっと言いたいことがあるというだけではハードルが高いものといえます。
そんな手間をかけてでも手紙を書こう、そう思うには何か伝えたい特別なことがあったからでしょう。
手紙の場合、相手が読んだかどうかはわかりません。
返信が面倒な分、返事があるかどうかもわかりません。
もっと言えば相手に届いたかどうかさえわからないのが手紙です。
どうかあの人に私の気持ちが届きますように。
手紙にはそんな真剣な想いが込められているように感じられます。
言葉が呼び覚ます記憶
薄くて厚い、数枚の紙が伝えるもの
いつか約束した
大切な言葉さえ
離れている今
時間(とき)に流され
守れずに心配かけたね
涙で滲んだ想いが
胸に染みこんでいくよ
ずっと...。
出典: 手紙/作詞:TAKAHIRO 作曲:Hiroo Yamaguchi
この歌の主人公と手紙を書いた相手とは恋人同士でしょうか。
何らかの理由で距離を置いて暮らしている二人であることがうかがえます。
一緒にいたとき、または過去のやりとりで約束をし合った二人。
思い合う男女の間で交わされる約束はそれを履行していくことが「愛」の確認であったりします。
そんな約束をいつの間にか、破ってしまっていた主人公。
受け取った手紙の重みを感じながら、守れなかった約束をふと思います。
手紙に滲んだ想いから、言葉にならない気持ちを受け止めることでしょう。
仕事や、やらねばならないことに追われるうちに、ちょっとした約束を忘れてしまうことは誰にでもあります。
しかし、忘れられる方はつらいものです。
そんな自分を許しながら、待っていてくれる存在。
主人公は手紙の中にそれを見つけ、心の支えの在り処に気付いたようです。
これだけは
大切にしなければならないもの
忘れないよ君を愛した
気持ちだけは
捨て去れないから
いつの日か...
いつの日にか...
僕からの想いも君に送るよ
出典: 手紙/作詞:TAKAHIRO 作曲:Hiroo Yamaguchi
夢や希望を追って一生懸命なとき、それ以外のものには固執する意欲がわかないことがあります。
仕事に邁進しているときは、恋愛や友人関係についてメンテナンスしている余裕がないのです。
夢、そして仕事を大切にしているとそれ以外のことの優先順位が低くなります。
そのため、関係する人からすると「こちらには興味がないのかな」と感じられることも。
主人公は何かに邁進しながら、そしてそのことに手いっぱいであるようです。
そんな中でもどうしても捨てきれない、大切にしておきたい想いがあります。
こうして手紙を送り気持ちを送ってくれる相手。
その相手は、約束を破り、連絡がなかなかできない状態でありながら、繋がっていたい相手です。
そんな自分に寄り添おうとしてくれる手紙の送り手。
主人公はいつの日か、自分の気持ちを相手にもきちんと伝えなければということに気付いたようです。