僕から君への愛

君だけに捧げたい

歪んで堕ちてく 深く沈んでく
こっそり耳打ち 君だけ「愛を押し付けて」
噛み跡付くほど。比喩じゃない、本気
綺麗じゃなくていい みっともないくらい 壊れて。

出典: Antilyours/作詞:GESSHI類 作曲:水谷和樹

冒頭の言葉から、主人公の生活が悪い方へ向かっていることが分かります。

しかし、そんな状況の中、主人公には「」を見出せる相手がいました。

それが「君」です。

そして、その愛は「君だけ」に掲げられた特別なものなのです。

また、本気で「噛み跡」を残すという表現から、主人公は独占欲が強いことが分かります。

同時に「君」のみっともない姿も全力で受け止める覚悟を持っています。

君を救いたい

邪魔なモノで溢れてるのなら あたしが今、消してあげる
刻む胸に涙の色・味を 二度と忘れないよ、夢に乞い
仮初かって?イトヲシイ…

出典: Antilyours/作詞:GESSHI類 作曲:水谷和樹

「君」を取り巻く環境も主人公にとっては気になる要素の一つでしょう。

「君」にとって必要ない、「君」を脅かすものは全て消してあげたいという気持ちが表れています。

また“自身の辛い経験や過去を決して忘れることなく、必死に乗り越えよう。”

そんな主人公の姿も読み取れます。

ここまでの内容を見ると主人公はとても強く、「君」にとっての救世主のような印象を持ちます。

でも実はこれ、今は全て主人公の理想に過ぎないのです。

決まり事(理想)

僕とぼく

僕がぼくで在る為に。

出典: Antilyours/作詞:GESSHI類 作曲:水谷和樹

ここで初めて「僕」という主人公を表す一人称が出てきます。

注目すべきは「」と「ぼく」の違いです。

この言葉から「僕」というのは他人から見た表向きの自分です。

それに対して「ぼく」は、普段は見せることのない本当の自分なのです。

君という概念以外の思想はいらない、
其れが誇れる ぼくの理想、決まり事。(法)

出典: AntiIyours/作詞:GESSHI類 作曲:水谷和樹

自分らしく生きていく為に「君」は必要不可欠であり、存在そのものが「僕」の誇り。

これは、誰にも犯すことの出来ない決まり事なのだと断言しています。

そしてここでも、その法律はあくまで「ぼく」が思い描く理想なのです。

君とキミ

君がキミで在るように。

出典: Antilyours/作詞:GESSHI類 作曲:水谷和樹

今度は「」と「キミ」について考えていきたいと思います。

「僕」と「ぼく」同様、「君」は表向きの顔、「キミ」は仮面の下の素顔と捉えるのが自然でしょう。

しかし、一つ大きな違和感に気付きませんか?

「僕」の内面は平仮名の「ぼく」なのに、なぜ「君」の内面は片仮名で「キミ」と表記されているのか。

それはきっと、主人公から見た視点だからではないでしょうか。

本来なら「ぼく」とリンクするのは「きみ」ですが、歌詞の中には「君」の内面、心情は書かれていません。

その為、「キミ」というのは「君」と「きみ」の中間を表している気がするのです。

家族・恋人・親友など、信頼する人の前では、自分の悪い所も含めて様々な面を見せていると思います。

でも、全部ではないですよね。

嫌われないように喧嘩にならないようにと、知らないうちに仮面を被っているはずです。

この状態が「キミ」なのです。