ミスチルにしては"異色"といえる女性目線の作品
ミスチルといえば「僕」という一人称の歌が多いグループ。
男性目線で描いた歌詞がとても多く、男性らしいワイルドな楽曲も多々あります。
そんなミスチルの"異色作"としてファンの間で知られているのが「デルモ」という楽曲です。
この楽曲は女性目線の歌。
一人称も「私」になっており、女性が思わず共感する言葉もたくさん出てきます。
この楽曲がリリースされたのは、1997年2月5日。
モデルとして生きる女性を描いた歌詞を解説
この楽曲のタイトルになっている「デルモ」とは、モデルのことを指す言葉です。
バブル時代に使われていた「シースー(寿司)」や「ギロッポン(六本木)」と同じノリの言葉ですね。
この歌詞の時代設定は、日本のバブル時代。
その中でモデルとして活躍する一人の女性を描いた作品になっています。
このモデルの女性は、どのような人生を歩んでいるのか。
華やかな仕事をこなす中で、どんな感情を抱いているのか。
歌詞の内容を深掘りしながら見ていきましょう。
1番の歌詞
モデルとして忙しい毎日を送る日々
東京―パリ間を行ったり来たりして
順風満帆の20代後半だね
バブリーな世代交代の波押し退けて
クライアントに媚び売ったりなんかして
出典: デルモ/作詞:桜井和寿 作曲:桜井和寿
ここでは、毎日仕事に打ち込んでいる主人公の様子が描かれています。
主人公の女性は、海外に行って撮影することも多いようです。
しかも、ファッションの都であるパリに関しては「行ったり来たり」しているとのこと。
それだけ大きな仕事をいつもこなしているということが、冒頭の歌詞から伝わってきます。
そして、主人公の年齢は「20代後半」。
モデルというと10代の頃から活躍しはじめる人が多いですよね。
なので、恐らくこの主人公はモデル業界の中でも「中堅」に該当するのでしょう。
出てきたばかりの新人モデルと比べると若さの面でどうしても負けてしまう主人公。
しかし、モデル業界で生き残るために今までのコネを駆使して仕事を掴んでいます。
クライアントと良好な関係を保つことに気を遣っているようです。
モデルの仕事は楽じゃない…!
いつも自己管理 ダイエット 睡眠不足
華やかな様であって 死んだ気になりやってんだ
出典: デルモ/作詞:桜井和寿 作曲:桜井和寿
モデルの舞台は一見とても華やかに見えます。
しかし、影では地道な努力や我慢、時には辛いことも乗り越えなくてはいけません。
それに、いつまでも綺麗なモデルとしてあり続けるために、美容には特に力を入れています。
美しいボディーラインを維持するために、ダイエットだって欠かせません。
「楽しいから」「人前で輝けるから」といった軽い気持ちだけでは務まらない。
それがモデルのお仕事なのです。
衰えが見え始めたり、体型が崩れていったりしたら、仕事が減ってしまいますからね。
とはいえ、人間のからだは徐々に衰えていくようにできています。
それに抗うのですから、そりゃ「死んだ気」にでもならないとやっていけません。
モデルはとても厳しい世界で生きているということが伝わってきますね。
仕事は順調だけど…
デルモって言ったら“えっ!"ってみんなが
一目置いて 扱って
4 5年も前なら そんな感じに
ちょっと酔いしれたけど
寂しいって言ったら ぜいたくかな
かいかぶられて いつだって
心許せる人はなく 振り向けば一人きり
出典: デルモ/作詞:桜井和寿 作曲:桜井和寿
モデルのお仕事だけで生計を立てている人は、ほんの一握りです。
この歌詞の主人公はその"ほんの一握り"のうちの一人なのでしょう。
だから、主人公が活躍中のモデルだと知った周りの人は、一目置いてくれます。
数年前だったら、そんな周りの人たちの態度が心地よくて仕方なかったのでしょう。
でも、最近は特別扱いされすぎてしまって、みんな自分と距離を置くから寂しい。
そんな風に感じているようですね。
それに、高く評価されるほどアンチの数も増えていきます。
きっとライバルだって周りにたくさんいることでしょう。
仕事は順調だったとしても、それと引き換えにストレスは溜まる一方なのです。
成功するほど孤独になっていく人生。
それがこの主人公の人生なのでした。