うっせぇと繰り返すたびに増していく狂気

うっせぇがスイッチ

この歌の主人公は、あくまで普通の大人

決して頭のおかしな人間でも無ければ、感情にまかせて狂っているのでもありません。

それは歌詞の中でも何度か確認されていること。

さらに、歌の全編を通して不平不満や憤りをぶちまけている訳ではありません。

不平不満や憤りではない部分の歌詞は、強い言葉ではなく普通の「ですます調」で書かれています。

そういうところでも、主人公の私がきちんと常識をわきまえた普通の大人なんだと分かります。

普通で大人な私にとってのスイッチ。

それこそが「うっせぇ」という言葉です。

「うっせぇ」をスイッチにして社会や上司への不平不満や憤りを吐き出しているのです。

それは「うっせぇ」のあとの歌詞に強い言葉が増えていることでわかります。

強い言葉を連続し感情の高ぶりを表現

2番のサビ以降は「うっせぇ」の後にたたみかけるように強い言葉が続きます。

主人公の私の感情がどんどん高ぶっていく様子が描かれています。

そして増々激しい言葉で攻撃的となり、感情のタガが外れていきます。

言葉自体は強く、人によっては汚いとさえ感じるもの。

しかし言葉のリズムが良く、聴く人の耳を惹き込むように心地よく流れ込んできます。

最後の「どうだっていい」は最初の「正しさとは 愚かさとは」の答え

タガが外れ感情をぶちまけた「私」ですが、やはりどこか冷静な部分は残っているようです。

そんなところも「私」という人間が普通の大人なんだなと感じることができます。

歌詞の最後で「アタシも大概だけど」で少し冷静になる「私」。

心の中とはいえこれだけ言いたいことを言えて、自分の考えや意志を持って生きている。

だから「問題なし」と締めていると考えられます。

「あなた」「私」と別々であった人称代名詞。

混乱の末、混ざってひとつになって「アタシ」と表現された最後のサビ。

つまり別々であった「あなた」と「私」がひとつとなり、下した結論。

あくまで一人の人間として「問題なし」と言っているのです。

また最後の「どうだっていい」は、歌詞の最初に置いた「正しさ」や「愚かさ」に対する答えとも取れます。

普通や当たり前が当然のルールとされている社会で、正しいことも愚かなことも見失いがちなもの。

けれど私はちゃんと自分の考えや意志を持って生きている。

だから問題はない、と言っていると読み取れます。

「健康」と言い切るその心とは?

いっけん不満をぶちまけている歌詞のような「うっせぇわ」。

けれどところどころに冷静な「普通の大人」が見え隠れしています。

こんなに暴言をはき、正気を失ったように言葉の銃を振り回しているように見える。

けれど私はいたって「普通の人」なんだ、というメッセージが伝わってきます。

「うっせぇ」の繰り返しの直後に出てくる「健康」という言葉もそのひとつだと考えられます。

よくわからない暗黙のルールや当たり前の中にいても、自分の意志や考えを持ち、自分らしく生きている。

だから大丈夫=健康であるという思いが込められていると考えられるのです。

こんな風に不平不満や憤りをため込んでいて、いつのまにか当たり前や普通にどっぷりはまっている。

けれど、自分の意見や考えを持って自分らしく生きている。

だから誰に何と思われようと「健康」なんだという思いが込められていると考えられるのです。

良くも悪くも多くの人の心を掴んだ楽曲

Ado【うっせぇわ】歌詞の意味を解釈!うっせぇわは誰に向けた言葉?健康と言いきる裏に込められた想いはの画像

歌詞の強い言葉遣いや、捉えようによっては見下したように聞こえる荒っぽい歌い方

何もかも強い印象を持つこの曲は、好き嫌いがとても分かれるようです。

しかし、誰もが抱えるもしくは抱えたことのある社会や上司への不平不満や憤り。

それは誰にとっても共感を得やすいテーマです。

好き嫌いに関係なく共感できることをテーマとしたこと。

それが、この曲が良くも悪くも多くの人の心を掴んだ秘訣ではないでしょうか。

自分に対する自信と不安、揺らぐ自我と社会への怒り。

そうしたメッセージは大人だからこそ共感できるものも強いはずです。

話題を集めたからこそ、好き嫌いや先入観で判断されたことも多かった「うっせぇわ」。

是非、心を揺さぶるほどパワフルなAdoの歌声に存分に感情を揺さぶられてみてください。

共感するもよし、共感できないと眉をしかめるもまたよし。

それほどまでに人の心を引き付けるAdoのボーカルと、気が付けば覚えてしまう魅力的なsyudouのサウンド

是非じっくり聴き込み、自由にこの曲を感じて楽しんでもらいたい魅力的な楽曲です。

20年代のバズった楽曲をおさらい!

Ado【うっせぇわ】歌詞の意味を解釈!うっせぇわは誰に向けた言葉?健康と言いきる裏に込められた想いはの画像

Adoの「うっせぇわ」をはじめ、YouTubeの「バズった楽曲が注目を集める20年代。

「うっせぇわ」が話題になったのはもちろんですが、他に話題となった楽曲もご紹介します。

まずは、アニメ調のMVボカロP出身の作曲など共通点の多いYOASOBI

小説をバックグラウンドに置いた楽曲という在り方も20年代らしい特徴です。

YOASOBIは小説を元にした楽曲を制作しており、『群青』もその1つです。今がどれだけ未熟でも夢に向かって努力する背中を押してくれる応援ソングになっています。印象的なメロディにのせた歌詞に込められた思いを読み解いてみましょう。