上のフレーズと対句になっているのがわかりますね。
「私を忘れたい街角」とは私の面影や私との思い出がない街ということですね。
肩を抱くのは私ではなく別の女性。私と違う長髪です。
中島みゆきさん独特の客観的で淡々とした状況描写がとてもカラッとしていますが、そこに見出せるのは追う女と追われる男の公式図です。
自然に流れていく二人の愛
雨のようにすなおに
あの人と私は流れて
雨のように愛して
サヨナラの海へ流れついた
出典: ひとり上手/作詞:中島みゆき 作曲:中島みゆき
ここでも雨の描写があります。
雨の流れる様子は、ただ自然のままに、自然に身を任せて流れていくことを連想させます。
つまり、二人の愛はつくられたわけではなく自然の成り行きで愛し合うことになった、ということでしょう。
「雨のように愛して」の部分では冬の雨を指していますから、豪雨のように激しい愛よりは冷たくてしっとりとした時雨や地雨のようなイメージですね。
そして大海原へと流れましたが、二人は「サヨナラの海」に離れ離れになります。
「ひとり上手」とは?
ひとり上手とよばないで
心だけ連れてゆかないで
私を置いてゆかないで
ひとりが好きなわけじゃないのよ
出典: ひとり上手/作詞:中島みゆき 作曲:中島みゆき
結論から述べますと、「ひとり上手」とは「心はあなたのもとにあるけど、わたしという生身は一人で生きていける」ということだといえます。
あなたから見れば、一人で要領よく生きているように見えるのかもしれない。
でもそうではない。あなたを思う心はここにあらず、あなたのもとに行ってしまっている。
それでもこの残ったわたしの生身だけは、ひとりで生きていけるのだ。
そういうことを言っているのだと歌詞から解釈できます。
「ひとり上手」という固有名詞は、「おひとりさまでもうまく生きている」という意味で使われることもあります。
しかし歌詞解釈を通せば、それだけの意味では使えなくなるように思えますね。
「ひとり上手」まとめ
以上、「ひとり上手」の収録アルバムと歌詞解釈をチェックしてみました。
今の時代はショートメールや短文SNSの広がりにより、ストレートな意味で言葉を使うことが多くなりました。
しかし言葉は多くの意味を孕んでいます。
「別れる」「愛し合う」などの言葉も、その意義を深く考えることが少なくなったように思われます。
「ひとり上手」という言葉も、ただの「おひとりさま」を示すワードとして使うよりは曲全体の意味を踏まえて使いたいところです。
この曲に限らず、ストレートな解釈をするにとどまらず一歩踏み込んで言葉やフレーズの意味を考えていきたいものですね。
Otokakeをヒントに歌詞を読みこみ、さらにその曲を好きになっていただけたらとても嬉しいなと思います。ぜひご活用ください。
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