凛として時雨「DIE meets HARD」
2017年8月23日にリリースした7thシングル
凛として時雨にとって実に2年ぶりのシングルリリースということで、ファンにとっては待ち遠しい1作となりました。
邦楽を超えた音作りで注目を浴びた3ピースバンドの凛として時雨。TKと345の高音ツインボーカルも健在ですよ!
とにかく重厚な演奏といった印象ですね。ドラムが今までよりもシンプルでスローな四つ打ちですが、ノイズがかったギター音がめちゃくちゃスリリングです。
このシングルは通常盤と初回限定盤の2つがあり、通常盤には「I'm Machine」と「DIE meets HARD」のリミックスバージョン、初回限定盤にはMVとメンバートークで送るラジオが収録されています。
ドラマ「下北沢ダイハード」のオープニング曲!
アニメなどのタイアップは今までありましたが、ドラマのタイアップとなるのは初とのこと。
2年ぶりのシングルということでクールな楽曲をと思っていたそうですが、ドラマ監督の誘惑に負けてホットな楽曲へと変わったそうです。クールな楽曲も聴いてみたいですねぇ。
ということで、「DIE meets HARD」は、ドラマのための書き下ろし楽曲。
「下北沢ダイハード」は何人かの人気劇作家が「下北沢で起きた人生最悪の一日」をテーマにして脚本を描いている1話完結のオムニバスドラマ。
それぞれの個性的なまとめ方が面白いテレビ東京らしい作品になっています。
下北沢は新宿とか渋谷とかとはちょっと違って、独自の文化がありユニークな街といった印象があります。一癖も二癖もある人間同士の最後はきっと激しいものに違いありません。
まさにタイトルもぴったり!!
「DIE meets HARD」のMVも公開中
ドラマとリンクするMVが面白い!
「DIE meets HARD」のMVではドラマのテーマともマッチしたある1日の激しい日常が描かれています。
そして、「ダイハード」といえばこの人!ということでブルース・ウィリスのそっくりさんであるプチ・ブルースも出演しているんです。
凛として時雨のPVは、演奏メインのちょっとダークな背景にレーザーやビーム、ライトなどを上手く使ったクールでカッコいいイメージでしたがいったいどうしちゃったの?って感じですよね。
実はこのMV作成にドラマでも総合演出をしている関和亮を呼び、作られています。
このMVで登場するのは3つに並んだマンションの部屋。一部屋目は引っ越してきたヤクザ、そして二部屋目はとある夫婦、そして三部屋目はエアロビクスを踊る姉妹。
衝撃的展開を見せるので、何度も見て欲しいと思います。
「DIE meets HARD」の歌詞を紐解く
世の中に疲れすぎて”他人の不幸”が欲しくなる
ハチミツ色に彩られた絶望
覗き込む不埒な衝動
誰にも知られない様に集めたコレクション
危な過ぎる快楽にばら撒かれた
この街のthe war / the worldを
食べたいな LET IT DIE HARD
悲劇観劇
出典: DIE meets HARD/作詞:TK 作曲:Fumiaki Unehara・TK at ONKIO HAUS & Studio 4
凛として時雨の言葉のセンスは秀逸ですよね。
一人の人間としては他人に見せたくない闇の部分をうまく表現しています。
たとえば最初にピックアップされた”絶望”も”不埒な衝動”もそして見られてはいけない”コレクション”も、世の中の基準で見れば正しくないものばかりです。
でも、それらが自分にとって心躍らせる材料になっていることが分かります。見てはいけないといわれたものを見たくなるように、いけないとわかっているものほど魅力的に映りますよね。
心躍らせるものを求めてしまうのが人の悲しい性であり、そんな材料を求めて街を動く姿を「the war/the world」と表現しています。
この英語は「ざわざわ」という音にも掛けているんですよね。
世の中的には喜んではいけないものですが、「人の不幸は蜜の味」というように、悲劇や修羅場というのは周りから見ている分には娯楽でしかありません。
「下北沢ダイハード」もそんな”最悪な一日”をテーマにしています。
この歌詞は視聴者の気持ちを代弁しているのかもしれませんね。
誰々さん もうくたばれ
僕は散々くたばった
次は君の番だって思い込みたいの
誘惑のエマージェンシー
快楽のエマージェンシー
消え失せないマイジェラシー
スリルに囚われた
出典: DIE meets HARD/作詞:TK 作曲:Fumiaki Unehara・TK at ONKIO HAUS & Studio 4
人の不幸を見たいのは、自分がよりも悲惨な奴がいると思いたいからです。
なんで自分だけがこんな目に合わなきゃいけないんだ!!という状況に陥れば陥るほどうまくいっている他人がいると腹が立ちますよね。そういう嫉妬心に誘われて闇の世界へ足を踏み込んでいくのが分かります。
エマージェンシーとは、英語で緊急事態のこと。
心が衰弱しきって非常サイレンを鳴らしているのでしょう。
”危ない快楽”につかり始めて、抜け出せなくなっていくのです。