恋も思い出になる
ふと気がついたら
ときめくセリフも思い出に変わる
さびしいけれど
出典: さよーならあなた/作詞:カネコアヤノ 作曲:カネコアヤノ
しかしここではそんな恋の最中から、急に現実へと引き戻される主人公の姿があります。
いつの間にか、夢中になっていた恋人とも関係が変わってしまうこと。
それにどこか寂しさを感じながらも、関係が過去になっていくことを受け入れている主人公。
言われた時にはときめきを感じていた恋人からの言葉も、いつの間にか当時と同じ感情を見出せなくなっていくのでしょう。
代わりに時が流れればそれは思い出として、懐かしさや良い過去の出来事といった形で彼女の心に残っていきます。
主人公はそのことを考えながら感傷に浸っているのでしょう。
気持ちというのは変化していくものだということを私たちに教えてくれる歌詞です。
恋が終わるまで
魔法のような日々
だから今だけ どうか今だけは
魔法が解けるまで 愛しあおうよ
出典: さよーならあなた/作詞:カネコアヤノ 作曲:カネコアヤノ
時の経過によっていつか彼への好意さえも変わってしまうということを受け入れる主人公。
そんな未来を受け入れながらも、今は恋人との時間を楽しみたいと考えています。
今という時間が永遠には続かないことを受け入れて、続かないからこそ愛し合いたいと思っているのでしょう。
2行目の「魔法」という言葉は一体何を表しているのでしょうか。
それは主人公が今現在彼に対して抱いている好意を意味しています。
心がときめき、恋人のことばかり考えてしまう状態。
まるで魔法にかけられたかのように他のことが手につかなくなっているのでしょう。
そんな状態をここでは「魔法」だといい表しているのではないでしょうか。
この「魔法」は永遠ではありません。
それがいつかは分かりませんが、いつか必ず解けてしまいます。
そのことを自覚しながら「魔法」のようなこの時間を懸命に楽しもうとしているのでしょう。
切なくも美しい時間
明日には忘れる約束
たくさんしようよ
小鳥がさえずるときまで
ヘイ ベイべ たまにはいいでしょう
出典: さよーならあなた/作詞:カネコアヤノ 作曲:カネコアヤノ
恋人との今しかない日々を楽しもうとする主人公の姿がここでも描かれています。
彼女の願いは、恋人と今という時間を存分に楽しむということ。
そしてそれは刹那的に過ぎ去る今という時間にだけ目を向けるということを意味しています。
1、2行目では「忘れる」という言葉が用いられていることから、どうでもいいような約束を意味しているのでしょう。
どこへ行こうとかあれを食べに行こうとか、そういった日常の中での口約束を指しているのだと考えられます。
日常を楽しみたいという主人公の姿勢がここにも表れているのです。
3行目の歌詞は、朝まで2人の時間を楽しみたいという想いの現れでしょう。
ここでいう「小鳥」というのは朝の訪れを意味していると考えられます。
いつか訪れる別れを意識しながらも今を楽しむ彼女の切なくも楽しげな心境が伝わる歌詞パートです。
恋人に残したいもの
ああ、あなたに 花の名前の一つでも
あげること できたらいいのにな
出典: さよーならあなた/作詞:カネコアヤノ 作曲:カネコアヤノ
この楽曲最後の歌詞パートがこちらになっています。
主人公の心が常に、彼との別れを意識していることが分かる歌詞です。
いつかきっと別れてしまう彼の中に、自分の思い出を何か1つでも残したい。
その想いがここでは「花」という形で表現されています。
どこかで綺麗な花を見かけた時、その名前を主人公が彼に教える。
そうすることで、別れた後もその花を見るたびに彼は主人公のことを思い出すはずです。
しかし主人公はそこまで花に詳しくないのかもしれません。
だからそうして彼に教えることもできない。
この想いの行方は「さよーならあなた」という楽曲タイトルからも推測することができます。
きっと2人の行先には避けようのない切ない別れが待っていること。
それは2人の間に存在している「魔法」がいつか解けてしまうことを意味しています。
恋というものはいつまでも続きはしないということを私たちに教えてくれる歌詞です。
しかしだからこそ私たちは、その恋を存分に楽しむべきなのでしょう。
カネコアヤノはこの楽曲で恋の美しさと切なさを私たちに教えてくれています。
まとめ
今回はカネコアヤノの「さよーならあなた」の歌詞の解釈をお届けしました。
いつかは恋が終わってしまうことを受け入れ、だからこそ今を楽しむという主人公の姿勢。
そこには恋というものが永遠に続かないからこその美しさを感じ取ることができます。
この楽曲は、恋の「魔法」のような切ないながらも美しい時間が描かれていました。
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