あの娘かわいそうで胸が痛い
いたずらに美しさ安売りしてる
もっと早くに君と僕が
出会えてたなら こんな風にね
キズつけやしないだろう
泣かせたりしないだろう

出典: 限界破裂/作詞:hide 作曲:hide

僕が異常なまでに深い愛を持って君と接するのは何故か。その理由がここで語られていました。

父は娘の交友関係に大きな不安を抱いているのです。

きっと君はとても美しい女性に成長したのでしょう。となれば寄ってくる男性もかなり多いと想像できます。

そんな風にチヤホヤされて喜ぶ君を見る僕の心には、嫉妬しかないでしょう。

「その男たちは君を傷つけるからやめておけ」とでもいいたげな雰囲気。

僕の歪んだ愛情が1番君を傷つけているとも気がつかず、暴走を止めるどころか加速させています。

本当に治療のため?

Therapy これはTherapy ただのTherapy

出典: 限界破裂/作詞:hide 作曲:hide

「therapy」という単語には「治療」という意味があります。

日本語でも「セラピー」という言葉が広く浸透していますから、イメージはしやすいでしょう。

歌詞で「これ」といっているのは僕が君を愛し、束縛している状態のこと。

僕にとっては「治療」ですが、これは君の想いを自分に向けるための矯正、そして洗脳と同義でしょう。

僕以外との人間関係で傷つくくらいなら…。

僕以外の男性に恋したせいで悩むくらいなら…。僕以外と関わらなければいい。

方向性を間違えた愛情は歪みを増していき、歯止めがきかなくなっていきます。

ちなみにこのフレーズは歌詞中にあと数回登場します。

僕はこの歪んだ愛を正当化し、君を納得させようとしているのかもしれません。

父娘を超える

秘密の関係

僕の上で君が君じゃなくなる
どうしようもなく悲しくて淋しい戯れ
これは悪夢なのさ そして
これはあなたなのさ だけど
何も意味など無いのさ
君が汚されちゃうから

出典: 限界破裂/作詞:hide 作曲:hide

ここではとうとう一線を越えてしまった2人の様子が描かれています。

2行目ではこの関係が「悲しい」もの、そして「淋しい」ものであると綴られていますね。

きっと君からしてみればその通りの意味でしょう。父とこんな関係になることは望んでいなかったはずです。

しかし僕は自身のこの行為を正当化していました。

この行為にはもちろん(一方的ではありますが)が伴っています。

しかし実際にはそれ以上の意味を持っているのです。

それがだけでなく身体も支配すること。

君を野放しにすれば、きっと僕以外の男と恋に落ちて愛し合うことになるのだろう。

そのせいで君が苦しまないように、守ってあげたい。

恐ろしいのは、僕がこれを異常だと認識していないところです。

彼の中では君が他の人と関わらないように束縛することも純粋な愛の形だということ。

この歪な形も、彼のねじ曲がった感覚からすれば真っすぐで美しい純愛に見えているのでしょう。

きちんと愛すから

Take you any way you want
君が望む全てを
Take you any way you…
さぁ 何して欲しい
Take you any way you want
誰もいない所で
Take you any way you…
このまま 君と限界破裂

出典: 限界破裂/作詞:hide 作曲:hide

僕と君の行為は続きます。

抵抗できず言いなりになった君を見て、僕は更に勘違い。

自分の愛を受け入れてくれたのだと大喜びです。

このまま愛し続けることが君のためになると信じ続けています。

君が抱く本当の気持ちなど関係ありません。このまま1人で絶頂を迎えようとしています。

ささやかな反抗

「とても淋しい」と嘆く君と
このままいっちゃおうよね そいで限界破裂

出典: 限界破裂/作詞:hide 作曲:hide

これまで無抵抗だった君ですが、ここでささやかな反抗にでます。

この父娘の関係性に対し、ネガティブな言葉をぶつけたのです。

しかしこれまで見てきてわかるように、まともな感覚を持たない僕にその意味が伝わるはずもありません。

僕はきっとこう解釈したのでしょう。

君は僕からの愛をもっと欲しがっている。もっと愛して欲しいと願っている。

だからこその2行目です。君の言葉と噛み合わないのはこういう理由でしょう。