「革命」ではなく「革鳴」
「ぜんぶ君のせいだ。」による7thシングル「革鳴前夜」。
一般的に「かくめい」という言葉を聞くと、「革命」を連想するのではないでしょうか。
ですがこの「革鳴前夜」は、あえて「革鳴」と表記されていました。
そこには彼女たちの決意が込められています。
病みかわいい世界観はそのままに、するどい表現力が加わったMVはまさに圧巻です。
ぜひMVもあわせてご覧ください。
前に進むために
やっぱり怖い
“心の臓 弾む前夜 幕開けの狼煙 脳波変化 足音は、そこにもう…”
「前を向くってどうやるんだ?」零れ落ちるいつもの癖
出典: 革鳴前夜/作詞:GESSHI類 作曲:水谷和樹
1行目の歌詞は、翌日の出来事を前に心臓が高鳴って興奮していることを表しています。
何か重大な挑戦を明日に控えているようでした。
学校、もしくは会社かは不明ですが、社会に関わりがあることには間違いありません。
ですが急に明日が怖くなって、ひるんでしまいます。
どうやらそれすらよくあることのようでした。
そうして怖気づいてしまうせいで、何度も挑戦に失敗していることが見て取れます。
また置いていかれる役でしょ…
出典: 革鳴前夜/作詞:GESSHI類 作曲:水谷和樹
こう表現していることからもわかる通り、その挑戦は周囲の人間には当たり前にできることのようです。
他の人間には簡単にできるのに自分にはできない…自己嫌悪と諦めを感じていました。
少しずつでも前へ
否。決め込むには 早すぎると。視えない未来を手繰る
ことが出来なくても 夢を見るくらいはこんな弱さを持ってる
このぼくにも 許される気がしてる 君もかい?
「ゆっくりでいい」
出典: 革鳴前夜/作詞:GESSHI類 作曲:水谷和樹
そんな風に弱気になっていましたが、心が完全に折れたわけではありません。
確かに、理想の未来に向かって今すぐ行動を起こすことは難しいです。
それでも理想の未来、幸せな明日を思い描くことは、怖気づいてしまった「ぼく」にもできます。
未来のために少しでも進もうとあがいていると、同じような思いをしている「君」に出会いました。
「少しずつでもいいんだよ」と「ぼく」は「君」を力づけます。
「君」も連れて行く
これは誰の言葉?
離さないと決めたよ ねえ 離さないって決めたの
待ち受ける先が底なしでも ぼくはさ、きっと泣かないから
眩く照らされた気になって 君の手を取って
出典: 革鳴前夜/作詞:GESSHI類 作曲:水谷和樹
「ぼく」は同じような不安を抱えている「君」のことも、一緒に未来へ連れて行こうと決意します。
ですが、まだ明るい未来を想像することはできません。
このまま進んで幸せになれるかはわからないと、未来に対する漠然とした不安を抱えていました。
どんな結果になろうとも絶対に後悔しないと、約束することさえできません。
きっと理想の未来が待ち受けているだろうと、祈りにも似た期待を持って「君」を連れ出します。
そもそも「ぼく」とは誰なのでしょうか。
未来に不安を抱え、他の人はどんどん先へ進んでしまうという引け目を感じていた「ぼく」。
この人物像は、「ぜんぶ君のせいだ。」の彼女たちを彷彿とさせます。
つまり「君」を力づけている「ぼく」の言葉は、すべて彼女たち自身の言葉です。
そして彼女たちと同じ思いを抱えている「君」とは、この曲に共感している聞き手を意味していました。
これはすなわち、「ぜんぶ君のせいだ。」のファン全員を未来に連れて行くという宣言なのです。