忘れるより知りたくなること
ひとつ残さず消し去ってしまいたい過去であっても、時に忘れたくない感傷に包まれることがあります。
あばたもえくぼという諺にあるように、人を好きになるということは相手の良いところも悪いところもすべてひっくるめて愛することです。
相手の全部を好きだから、外側も内側もすべて知り尽くした気になってしまいます。
恋愛に夢中な内は盲目なままでいても大丈夫だけれど、終わってしまってから「あの人のことを何も分かっていなかった」と気がつくのもありがちな話ですよね。
終わった恋に対して「まだ好き」と言うのは簡単です。
それをあえて「まだまだ知りたいことがあります」と歌うことで、心残りを美しくも切なく昇華しています。
女の子同士の友情も表現
元恋人への一途な想いであると同時に、親友以上恋人未満な女の子同士の友情も表現しています。
幽霊のユリはユーウェンにとって、本心を打ち明けられるただひとりの友だちです。
ユリはいずれ成仏してしまうのでしょうが、ユリの成仏はユーウェンには嬉しいことであり悲しいことでもあります。
ユリはいわば心の鏡のような存在で、孤独を癒してくれる存在です。
そんなユリと心を通じ合わせることで、ただの恋バナではない「自分探し」をすることができ、ユーウェンは少女から女性へと成長を遂げるのです。
どうしようもなく心が汚れた日は
あの日を思い出して洗い流す
心を優しい泡で洗い流す
出典: 漂白/作詞:あいみょん 作曲:あいみょん
異国の地に降り立ったばかりのユーウェンは恋愛行為自体を冷めた目で見る少女でした。
しかしユリとの出会いを通じて自分を知り、恋を知った大人になっていきます。
この歌において洗い流した汚れとは過去の失恋であると同時に、未熟な自分との決別でもあるのです。
他人に差し向けた悪意で自己嫌悪に陥った経験は誰もがあるのではないでしょうか。
ユーウェンもまた「本気で恋なんかして馬鹿みたい」と思う毎日が自己嫌悪の連続です。
彼女にとって、自ら泥を被るような気持ちでいたときに出会ったユリはこの上なく白い存在でした。
異国の地で恋愛の素晴らしさを知るにつれて、ユーウェンの汚れた心が白い輝きを取り戻していきます。
そういったユーウェンの成長を通して恋愛について本気で考えてみたのが「漂白」の歌詞です。
本気の恋愛を「汚れた気持ちを洗濯する行為」と喩えるのはあいみょんだからこその世界観ですね!
まとめ
危ない歌詞、怖い歌詞のイメージが強いあいみょんですが、この「漂白」はどこまでもピュアなラブソングです。
傷ついた心も弱った心もすすいでくれる切なくも優しいこの歌は、恋するすべての人に寄り添う名曲です。
まだ本気で恋をしたことがない人も、今まさに苦しんでいる最中の人も、この「漂白」を聴いて明日の自分を見つけてみてはいかがでしょうか。
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