歩道橋 階段 雨音
手を振るよ 最後の背中に
青に変わるライトで 時が動く
傘の波 飲み込んだ my days

出典: Re:pray/作詞:Jane Su、玉井健二 作曲:矢田亨

別れのときの光景を描写する冒頭部分から楽曲は幕を開けます。

「この信号が青に変わったら行くね」

別れることになった彼と主人公の間では、きっとそんな会話が交わされていたのではないでしょうか。

そして信号が変わり歩き出す彼。

雨降りの中の人混みは、みんなが傘を差していることもあって去って行くその後ろ姿もすぐに覆い隠してしまいます。

say a little pray for you and me
もう永遠を誓えない 愛を見送ろう

出典: Re:pray/作詞:Jane Su、玉井健二 作曲:矢田亨

「あなたと私への小さな祈りを口にする」

英語部分を和訳するとこんな感じでしょうか。

去って行くその姿を見送りながら主人公はどんな祈りを思い描いていたのでしょうか。

別れたことに対して後悔を残さない

誰かの為に生きてゆけない 自分を許せる強さを
あなたに寄り添えなかったこと 悔やまずにいられる日々を
祈りは雲を引き裂き この空に希望 解き放つ

出典: Re:pray/作詞:Jane Su、玉井健二 作曲:矢田亨

主人公が祈ったのは、別れに対する悔いを残さないことでした。

大切な人のために生きられているということは、裏を返せばその人自身も大切に想われているということ。

すなわちその人の価値を表すことでもあるのです。

何も無くなってしまった自分に価値を見出すには、その喪失感に負けない強さが必要なのですね。

そして別れてしまった相手にいつまでもすがっていては次に進むことはできません。

主人公が悔いを残さないという祈りを口にできたのは、その恋が良い恋愛だったからではないでしょうか。

この祈りが自分だけではなく、相手に対しても向けられているところからもそれは感じられますね。

曇った空をも晴らしてしまうその想いに未来が開けていくような感覚を覚えます。

本当は別れに傷付いていた主人公

我儘も 燃やしたアルバムも 去年のような明日が欲しくて
あなたのそのすべてを守るために わたしを守りたかった

出典: Re:pray/作詞:Jane Su、玉井健二 作曲:矢田亨

ここで描かれているのは、本当は彼ともっと一緒に過ごしたかったという想い。

別れることに対してわがままを言ったことはその気持ちの如実な表れです。

アルバムを燃やしたのも、そのまま持っていたらその気持ちを思い出してしまうからでしょう。

主人公にとっての「あなたのすべて」とは彼女が彼と過ごした日々のこと。

彼との日々を守ることが主人公自身を守ることだったというのは、別れた事実が彼女を傷付けていることを表しています。

後悔しないようにと祈っていた彼女も本当は傷付いていたのですね。

自分は傷付いているけれど、彼には悲しい想いをさせたくない

no more cry and dry your eyes
もう二度と振り向かない 引き留める声もない恋

出典: Re:pray/作詞:Jane Su、玉井健二 作曲:矢田亨

英語部分を和訳すると「泣かないで、あなたの目を乾かして」となりますが、これだと少し不自然ですね。

「dry your eyes」の部分はきっと、彼に悲しい想いをしてほしくないという気持ちを強調するためのものでしょう。

終わってしまった恋というのは振り返れば余計に悲しくなってしまうものですよね。

彼に悲しい想いをさせたくないと、主人公が引き留めたい気持ちを必死に抑える姿が思い浮かびます。

別れても温もりは残り続ける

泣かないで これで終わりじゃない
ただ時が過ぎて消えただけ
この胸にいま刻んだものは 包まれたぬくもりだけ
さよなら愛したあなた
さよなら愛されたわたし

出典: Re:pray/作詞:Jane Su、玉井健二 作曲:矢田亨

この恋は終わってしまったのに「これで終わりじゃない」と歌われているのが印象に残りますね。

これはこの恋が終わっても、この恋を経て感じた温もりは残り続けるということでしょう。

恋人同士といってもそれぞれに生き方があるのだから、別れてしまうのは仕方のないこと。

恋が続いていくか終わってしまうかよりも、その恋で何を感じたか、何を得たかが大切なのではないでしょうか。

そうやって人は出会いと別れ、そして成長を繰り返していくのですね。

この祈りを彼にも届けたいのは