この曲を聴いて学校へ職場へ!
朝のテーマソング
「Happy Song」は、Mr.Childrenの17枚目のオリジナルアルバム「(an imitation)blood orange」に収録されています。
この曲は、フジテレビ系『めざましテレビ』の2012年度テーマソングとして使われました。
この曲を聴いてから、学校や職場に出かけていた思い出のある人も多いのではないでしょうか。
タイトル通り、ハッピーでポジティブな気持ちにさせてくれるミドルチューンのナンバーです。
もちろん、桜井和寿の手による作品ですから、ただ『ハッピーになろうよ』などという単純なメッセージだけが込められているわけではありません。
歌詞を紐解いていくと、もっともっとポジティブな気持ちになれます。
ライブでもみんなで一体で歌うことの出来る、とても盛り上がるナンバー。
今も愛されている彼らの名曲のひとつと言えますね。
大人へ贈るハッピーソング
肩の力を抜いて
少しだけ仕事をほっぽって
もうどっか遠くへ行こう
軽井沢ハワイいやエベレスト
世界中をひとしきり空想
出典: https://twitter.com/MrChildrenbot6/status/942017957592305665
現代社会は、その便利さと裏腹に、非常に忙しく厳しい時代になりました。
毎日の暮らしに追われて、なかなか余暇を楽しむ余裕もありません。
そんな人たちへ、贈られた歌がこの「Happy Song」。疲れた大人たちへのナンバーなんですね。
出だしのフレーズは、『そんなに頑張り過ぎないで、少し肩の力を抜こうよ』というミスチルからのメッセージ。
少しだけ仕事をほっぽって出かけるのは、空想の世界。それでもいいじゃないか!という温かみのこもったフレーズです。
やるせない世界で暮らしていても
足がすくんでしまうけれど...
目紛るしく変わっていく世界に
ちょっと足がすくんでしまいそうな近頃
まるで前へ倣えの右へ倣えの
優等生モード
出典: https://twitter.com/MrChildrennouta/status/941911221623668736
近年、数々の新しいアイテムの登場によってわれわれの暮らしは劇的に変わってきていると言ってもいいでしょう。
パラダイムシフト(=今まで当然と考えられていた認識や思想、社会全体の価値観が劇的に変化すること)という言葉が、最近取り上げられることが多くなりましたが、私たちはもしかしたら過去、類のない変動の時代にいるのかもしれません。
『足がすくんでしまいそうな』というフレーズは、まさにそんな時代に生きる我々の気持ちを言い表してくれています。
さりげない言葉ですが、こういう普通の言葉の使い方が桜井和寿は本当に上手いと思います。
それでもHappy Songを歌おう!
悲しいほどにハイテンション
でも I believe
相も変わらずに
いつだってこの胸に流れる
悲しいほどにハイテンションな
Happy Songを歌おうよ
出典: https://twitter.com/asanorinorinori/status/942183923848593408
みんなで歌おう!という『Happy Song』の前につく修飾語は、『悲しいほどにハイテンション...』という言葉。
ここがこの曲のいいところですね。
そんなに簡単に、全力で幸せな歌を歌えるわけがありません。特に現代社会で疲弊した我々は、誰もが悲しみや寂しさを引きずっているわけですから。
でも、そんな悲しみの中でもポジティブに『悲しいほどにハイテンション...』で歌おう!と呼びかけてくれています。
この後のサビでは、この『ハイテンション』が『脳天気』にチェンジされています。
この『脳天気』という言葉は、『呑気で軽薄なこと』を表す言葉ですが、ここでは、『難しいことや辛いことは深く考えないで』というとても前向きな意味で使われているんですね。
考えすぎて、疲れすぎた現代人には、これくらいの気持ちの方がいいよ!と桜井和寿は訴えかけてくれています。
寂しい昨日と手をつないで
そして、最後に『悲しいほどにハイテンション...』は、『寂しい昨日と手を繋いで』に変わります。
『寂しい昨日』というのは、文字通り、辛い過去のこと。
普通にハッピーな歌を考えた時には、『辛い過去や、いやな出来事はすべて忘れてしまって』としたくなるところですが、詩人桜井和寿の場合はそこが決定的に違います。
その『寂しい昨日』とも『手を繋ごう』と呼びかけてくれるのが彼。
『手を繋ぐ』というのは、人と人が仲良くするということ。
辛い過去を忘れるのではなく、きちんとそれと手を繋いで受け止めて、そして『Happy Song』を歌おう!とこう呼びかけているんですね。
これは究極のポジティブソングと言っていいと思います。
Mr.Childrenは常に作品に新しい風を吹き込み、日本のミュージックシーンのトップランナーとして走り続けているわけですが、作風に大きな変化が見られたのは東日本大震災後だと私は思っています。
頭では、捉えきれないほどの悲しい出来事を経験したからこそ、この「Happy Song」は、大きな存在意義を持つ歌なのではないでしょうか。