瀬名航初のボーカルアルバム

5枚目なのに「初」とは?

【瀬名航 feat.鎖那/ひとり旅】ボーカルアルバム「せなとうた」収録曲!キュートなMVもチェック!の画像

2012年からVOCALOID(略してボカロ)を使った曲作りを始めた瀬名航さん。

初音ミクボカロPとして高校生の頃からその名が知れ渡り始めました。

ボカロP(ピー)」は「ボカロを使って自宅でアイドルをプロデュースする」人のことです。

瀬名さんはこれまでに4枚のアルバムを発表しています。

上の画像は4枚目に発表したmini album「とびら -2018edition- 」のジャケット。

このアルバムまで、瀬名さんの曲のボーカルはボカロが務めていました。

今回の5曲入りアルバム「せなとうた」はニコニコ動画歌い手さんがそれぞれボーカルを担当。

だから「初のボーカルアルバム」の言葉が添えられているんですね。

「ひとり旅」はMVがキュート!

POPなイラストと転がるリリック

ひとり旅/瀬名航 feat.鎖那

MVは画面にリリック(歌詞)が転がることから始まります。

歌詞に入っている「(恥ずかしく)ない(ような)」「(そんなの)イヤ(だから)」。

どちらも否定を意図するときによく使う言葉です。

これは主人公の脳内で、誰かに言われた言葉がぐるぐる回っているイメージでしょうか。

ある日、ひとりの女の子がカメラ片手に旅に出かけます。

MVの中に出てくる何枚もの写真は「主人公が撮った写真」を想定しているのでしょうね。

食べ物や桜など、いかにも旅好き女子のインスタにありそうですが……。

中にはタワー系の高層な建物や電車の写真も結構あるんですよね。

主人公は人との接触を避けて無機物ばかり撮影しているのです。

自分のためのSolo trip

この歌の主人公は、旅好き女子というよりは、人間関係にちょっと疲れた女の子。

もともと「ひとり旅大好き!」というよりは、周りの喧騒(けんそう)から逃れたいようです。

「ひとり旅」の英訳を調べると「Single journey」「Traveling alone」などと出ました。

でも曲の間奏では「Solo trip」と書かれています。

「Single」や「alone」よりも「Solo」の方が「自分の意思で」という印象が持てます。

「trip」も、いつもと少し違う、別世界へ飛び込むようなイメージがあるのでこの歌にぴったりです。

こういったちょっとしたところにも言葉選びの巧みさが見えますね。

この女の子は自分の行きたいところに行って、見たいものを見る「自分のための旅」をします。

そうしてリフレッシュして頭をスッキリさせ、またいつもの生活に戻って行くのでしょうね。

では次は、可愛い音に乗せられていますが実は哲学的な歌詞を抜粋して見ていきます。

今日は「ひとり」がいい

もう、旅に出ちゃおう!

「恥ずかしくないような気遣いを」
そんなのイヤだからさ、忘れて、今日は。

出典: ひとり旅/作詞:瀬名航 作曲:瀬名航

主人公の女の子の悩みは職場の人間関係。

会社員かフリーターかは分かりませんが、年の離れた同僚がいます。

その中にいわゆる「おせっかいおばちゃん」がいるのでしょう。

悪気はないのですが、おばちゃんという生き物は思ったことをそのまま言ってしまいます。

相手が「若い」というだけで頼りなく見えて何かしら言いたくなってしまうのでしょう。

おばちゃんが何気なく言ったひと言が、主人公の心にちくりと刺さって抜けません。

間違ってはいないと思う。でも、だからって正しいとは限らない。

そんなモヤモヤが晴れない彼女は、ひとり旅に出ることにしたのです。

ひとりの幸せだってある

「可哀想ね」 私は
「若いからね」 違うよ
私、そんな不幸せそうに見えるの?

一人はつらいことばかりじゃない
ジャマもされない ここはいい所だ
私の知らない世界があるように
君の知らない世界がきっとあるのでしょう

出典: ひとり旅/作詞:瀬名航 作曲:瀬名航

普通にしているだけで「怒ってる?」と聞かれることはありませんか?

彼女もそう見られているのかもしれません。

それか、おばちゃんからの指摘を素直に聞けず黙っていたのを誤解されてしまったのかも。

「(こんなことも知らないなんて)可哀想」「若いコはしょうがないわよ」

おばちゃんたちが遠目に見える彼女を笑っています。

「いっつもニコニコしてなきゃ、誰かといなきゃいけないのかな……」

彼女はひとりの時間が好きなタイプなのでしょう。

だから自分のためだけに時間を使おうと決めて旅をしています。

自分の気に入った場所に留まってもいいし、予定のお店が並んでいたら店を変えてもいい。

「私には私の世界があるんだよー!」

本当に叫んではいないでしょうが、彼女はきっとそんな気分でいろんな景色を見ています。

心のままにシャッターを切っているとだんだん笑顔が戻ってくるようです。