やさしくされても
どうすればいいのか
睨みつけるしかなかった
出典: Make noise/作詞:秋元康 作曲:外山大輔
これまでずっと、傷つけられてきた主人公。
優しく接せられても戸惑うばかりです。
主人公の感情表現は「睨む」しかない、そんな切なさを感じます。
1番サビ
どういう顔で泣けばいいの?
誰かのことを待ってたのよ
教えてもらえなかった
そんな甘え方
信じることが怖かったの
鎖に繋がれてしまう
どこへも行けなくなって
飼い慣らされていた
出典: Make noise/作詞:秋元康 作曲:外山大輔
主人公も心の奥底では、優しさを感じることができます。
しかし、その気持ちをどう表現してよいのかがわかりません。
天涯孤独とはいえ、実際には人々の中で生きてきた主人公。
どんな人に育てられてきたのでしょうか?
はっきりとは書いてませんが、人並みに甘えさせてはもらえなかったのでしょう。
生かされていた、命だけは奪われないでいた。
そして「信じることとは、束縛されること」と思い込んでいる。
生活をしていたのではなく、ただ飼われていただけ。
そんな、「寂しさ」や「無力感」が主人公には植え付けられているように読めます。
2番イントロ~Aメロ
WOW WOW WOW WOW
WOW WOW WOW WOW
青い月 見上げていると
息が苦しくなる
美しいものはすべて
手が届かない
出典: Make noise/作詞:秋元康 作曲:外山大輔
1番と同じスキャットですが、これは主人公のあえぎなのかもしれません。
月を見上げて、息苦しさを感じる主人公。
ここで出てくる「青い月」には、こんな意味があります。
「青い月」英語で言うとBlue Moonとは、同じ月の間に出る二度目の満月のこと。
月の満ち欠けの周期は29.5日です。
このため、太陽暦の1日に満月になった場合に30日にもう一度満月になることがあります。
この時の満月をBlue moonと呼ぶのです。
このBlue moonは暦の関係で、ごくまれに起きる天体現象です。
これが転じて、英語でBlue moonというと「滅多に起きないこと」の例えとして使われます。
つまり、主人公が見上げた青い月というは、滅多に起きない奇跡のこと。
天高くにある月は、手を伸ばしても触れませんが「青い月」がそれを一層難しくしているのです。
夢なんか儚いもの
そのまま消えて行く
初めから見てない方が
もっと楽だろう…
出典: Make noise/作詞:秋元康 作曲:外山大輔
手の届かない「青い月」に自分の夢を重ねる主人公。
それが儚く、かなわないことを知っているから、見てしまったことを後悔します。
主人公はいったい何を夢見たのでしょうか?
2番Bメロ
世界のすべてを
あきらめた時から
私は強くなれたよ
出典: Make noise/作詞:秋元康 作曲:外山大輔
主人公の見た夢がどんなものか、まだ具体的には明かされません。
しかし、壮大なことではなく「ささやかな幸せ」だったのでしょうか。
それすらも手に入らないと、あきらめてしまった主人公。
筆者には、主人公が強がっているように見えてしまいます。
2番サビ
どういう声も気にならない
愛する人はここに来ない
誰にも頼らないよと
強がらせて欲しい
奥歯噛み締め 我慢しても
涙が勝手に溢れる
ここではないどこかへと
いつかは出て行こう
出典: Make noise/作詞:秋元康 作曲:外山大輔
主人公には、優しい声も、叱咤激励も届きません。
心を閉ざしてしまったようです。
それはなぜか。
自分の愛する人、それはおそらく、肉親のような関係の人。
どんな理由かはわかりません。しかし、もう会えないのです。
深い孤独感を抱える主人公には、相反する感情が渦巻きます。
だれにも頼らないという強さを持ちたいこと。
その一方で、誰かに頼りたいという弱さ。
抑えきれない激情のあまり、涙が出てくるのです。
さらに、この主人公の弱さは、最後の二行の歌詞に現れています。
本当に強くて行動力のある人物ならば、すぐにこの場所を立ち去るはずなのです。
ところが、この主人公は「いつか」と、期限を決めない未来の宣言をしています。
一歩を踏み出すのが怖いのでしょうか…
そしてこの後、間奏が入り1番のサビの歌詞を繰り返して、曲が終わります。