思い通りにはもうできないよ かなり不安でも
正しい理由なんか無い ただそう感じるだけ でも
出典: you&i/作詞:理姫 作曲:奥脇達也
主人公が望んでいる相手との関係性は、恐らく恋人同士なのでしょう。
しかしここまでの歌詞を考察する中で、二人が恋人同士という描写はありません。
まるで幼馴染のような、気の置けない友人といった描写です。
あまりにも距離が縮まってしまったがゆえに、今更「恋人になりたい」なんて言えません。
いつか相手に恋人ができたら、主人公は自分の立ち位置を見失ってしまうでしょう。
それを心のどこかで危惧しているのに、相手のそばから離れられないでいるのです。
いつかその日が来るだろう、と推測していても根拠はない。その日は永遠に来ないかもしれません。
どちらかは分からないけれど、今の関係性が永遠に続くとは思っていないはずです。
物語の結末を知っている
I can't live stay with you
悲しいお話
出典: you&i/作詞:理姫 作曲:奥脇達也
英詞を訳すと「あなたとは生きていけない」となります。
絵本でも戯曲でも、悲恋やバッドエンドの物語は最初から最後まで沈みっぱなしではありません。
初めは幸せで、その後起承転を経て望まない結末を迎えるのです。
主人公は、相手との結末がバッドエンドになるのだと確信しているのでしょう。
一緒に生きていくためには「いつまでも幸せに暮らしました」という結末が必要です。
その日が来るまで
あんまり離れないで
このまま遠くまで 電車に揺られて
一緒に逃げても
But I will say good bye to you.
出典: you&i/作詞:理姫 作曲:奥脇達也
いつか必ず相手に恋人ができると分かっているから、せめてその時までは今までの二人でいたいと願います。
「そばにいて」とわがままは言えないようですね。
相手のために一方的に尽くすだけで、自分の気持ちを押し付けようとはしません。
まるで相手にとってのお姉さんのような感覚です。
相手の幸せを最優先にするのだと心に決めているのではないでしょうか。
「相手の幸せ」は「恋人ができる」ことだけではありません。
主人公は、自分自身が相手の幸せを阻む存在だと考えています。だからこそ一緒に生きていけないのです。
相手の幸せのために、いつか離れなければならない。
主人公自ら、相手に「さようなら」を告げる日が来るだろうと歌っています。
感情は膨らみ続ける
感情は押し隠すことができても消すことはできません。
少しでも欠片が残っていると、そこから増殖して感情が溢れることもあります。
あなたこそが栄養源
遮るものにこそ 陽は当たり続け
弱くも 育ってしまう どんなに意味無くても
出典: you&i/作詞:理姫 作曲:奥脇達也
主人公の心の中にある恋心は、ずっと持ち続けていればいつか相手に伝わってしまうかもしれません。
主人公は恋心を掻き出して、相手から見えない場所に隠しておいたのでしょう。
それでも心の中にはほんの少しだけ、恋心の欠片が残っていました。
相手と接するたび、その欠片は徐々に膨らんでいくのです。
膨らんだからといって伝えるわけにもいきませんし、バレても困ります。
このセクションではそれを「意味が無い」と表現していますね。
壊さないために伝えておこう
泣くような日があれば 派手に散らかして
拾って大事にしてなんてずっと甘えていたっけな
出典: you&i/作詞:理姫 作曲:奥脇達也
まるでお姉さんのような振る舞いをする主人公は、とても強い芯を持つ女性だと感じます。
きっとあまり涙を見せないのでしょう。もしかすると、相手は主人公の涙を見たことがないのかもしれません。
よほどのことがなければ涙を見せない、つまり泣くときは相応の理由があるということです。
相手への恋心が膨れ上がり、口にも態度にも出せないまま涙となってこぼれ落ちる。
そんな日がいつか訪れるのではないかと、主人公は思っていたのです。
涙となって落ちるのは「恋心」、でも主人公はそんな情報を与えません。
「泣いたら何かしらの大きな理由がある。でも理由が分かったとしても黙って心に留めておいて」
これが二人の関係をできるだけ長く続けるための、最善の方法なのでしょう。