歌いだしはギターのみで淡々と始まってゆきます。
16分音符の、縦割りとシンコペーションの繰り返しのリズムで、淡々と読み込むような歌いだしです。
目覚めた瞬間のぼーっとしている感じがよく出ていて、現実に引き戻される前の時間が手に取るようにわかります。
その静寂を破るように急にサウンドは激しさを増します。
いきなり展開するサウンドと歌詞!
ねえ、怒ってよ
ねえ、振り向いてよ
ねえ、嘘を付かないで傷付けてよ
ここに並んで眠ってた
あれも、これも、そのどれもが
出典: 幻/作詞:椎木知仁 作曲:椎木知仁
目覚めの後、夢の中の出来事を思い出して感情が高ぶってゆく様子が、激しいサウンドによって手に取るようにわかる場所です。
16分音符で刻んでいたのがいきなりハードな8ビートになったため、一瞬ハーフビートになったように錯覚させ、感情の高ぶりをさらに強調しています。
そして最初のサビへとつながる・・・
幻みたいになっていくんだね
恐ろしいぐらいに冷めていたね
「ねえ、もしもあの時泣いてたらどうしてた?」
そう言えば もう朝だ
出典: 幻/作詞:椎木知仁 作曲:椎木知仁
ここでは激しい感情の高ぶりに一瞬我を忘れていたのが、朝の光で現実に引き戻されます。
もうここまで聞いただけで自分の似たような過去の経験を引っ張り出されますね!
特にシンコペーションを多用していた歌が、「もしも・・・」の部分だけ8ビートの縦割りに戻ることで、さらに言葉が強調されて心に刺さってきます!
そして2番へと・・・
鏡の前でボーッとしていて
昨日見た夢のことずっと思い出してる
あの日みたいに笑ってた
あの時みたいに話してた
でも最後には取り乱してしまった
「じゃあどうしたら良かったの?って
なんでなんにも言わないの?って
わかってあげれなくてごめんね、
でも最後ぐらいちゃんとしたかったよ」
一人で眠っている 二人の痕が残っている
出典: 幻/作詞:椎木知仁 作曲:椎木知仁
2番ではリズムは8ビートのままですが、若干ハードさを押えたサウンドが、目覚めた後にごちゃごちゃと考え込んでいる様子を表しています。
この後の2番のサビで再び「もしも・・・」の世界に戻ってしまいます。
人って何度も同じ考えを繰り返すんですよね!
悲しみや疎ましささえ
美しく化けてしまったね
「でも、もしもあの日に戻れたら」
ちゃんとわかってあげるから
出典: 幻/作詞:椎木知仁 作曲:椎木知仁
曲のラストが悲しすぎる!
ねえ、ベランダで揺れてた
白い花枯れてた
あの日のまま貼られたカレンダー
捲れないでいた
指輪に気付いてくれなかったね
そして 目を瞑るだけ
出典: 幻/作詞:椎木知仁 作曲:椎木知仁
ラスト前の展開部分ですが、感情の高ぶりが何度も繰り返してやってくる中で、夢の記憶を探っているシーンです。
この部分だけとっても誰もが身近に経験したことがある悲しみを思い出させます。
あまりに悲しすぎると、冷めて周りを見ているもう一人の自分がいるんですよね!
そしてついに衝撃のラストへ!
幻みたいになってたのに
なぜか前より優しいから
「ねえ、もしもあの時泣いてたら」
そんなこと言えなくて
こうして二人でいるとさ
時間が戻っていくみたいだね
「ねえ、もしもあなたが嫌じゃなきゃもう一度」
そう言うと笑ってた
ねぇまさか また夢だ
出典: 幻/作詞:椎木知仁 作曲:椎木知仁