作詞作曲は相対性理論
派手な衣装
まず歌唱時の衣装が派手!
赤いスーツの上下に、黒い中折れ帽とロック手袋、ただしインナーはなし!といった衣装でした。
ジュリーこと沢田研二さんの「カサブランカ・ダンディ」並みにキザに決めています。
このジュリーの歌に出てくる「ボギー」はハードボイルドの代名詞ハンフリー・ボガートのこと。
ハードボイルドなラブロマンス映画「カサブランカ」などで知られるハリウッド俳優です。
つまり、かっこいい男性がワイルドな社会でキザに決めまくる!という世界観があるということ。
山Pの「愛、テキサス」はジュリーやボギーへのオマージュ(尊敬)とも考えられるでしょう。
その世界観のもとになるのが歌詞。
相対性理論って?
相対性理論はボーカルのやくしまるえつこさんやギターの永井聖一さんらによるポップユニット。
アルバム「シフォン主義」収録曲「LOVEずっきゅん」など、実験的なポップソングぞろいです。
やくしまるえつこさんの別名義がティカ・α、「愛、テキサス」の作詞を担当されています。
かっこいい山Pにワイルドかつキザに決めてもらいたい!と考えられたのではないでしょうか。
ただし、実験的な相対性理論の2人による楽曲提供ですから、一筋縄ではいかないわけですね。
結果、アイデア盛りだくさんの非常におもしろい楽曲に仕上がったと言えるでしょう。
いったいどのようなアイデアが詰め込まれているのか、じっくり解説していきます。
ドラマ「最高の人生の終り方」主題歌
山Pは俳優としても活躍されています。「愛、テキサス」がリリースされた2012年は……。
ドラマ「最高の人生の終り方~エンディングプランナー~」の主演を務められました。
葬儀社が舞台のこのドラマの主題歌が「愛、テキサス」だったわけです。
お葬式というと誰かが亡くなることと密接に関わります。
「愛、テキサス」がハードボイルド仕立てなのは、死と直面するドラマの影響もあるでしょう。
映画「パリ、テキサス」へのオマージュ
2012年というと、山Pがアメリカのルート66を一人旅するドキュメンタリー番組も放送。
中西部のシカゴから西部のサンタモニカまでの道のりを、2週間かけてシボレーで走りました。
南部のテキサスではカウボーイになる?という展開もあったわけです。
また山Pは小学生の頃にロサンゼルスを訪れており、アメリカや海外に憧れがあるということ。
そのため「愛、テキサス」はアメリカの地名が入ったタイトルになったと考えられるでしょう。
ただシカゴやサンタモニカなど他の場所ではなくなぜテキサス?という点は疑問かもしれません。
「パリ、テキサス」って?
ルート66の1人旅といえば「パリ、テキサス」!ドイツのヴィム・ヴェンダース監督映画です。
「愛、テキサス」の作詞をしたティカ・αことやくしまるえつこさんはそう考えたのでしょう。
しかも「パリ、テキサス」と「愛、テキサス」で韻を踏んでいます。
フランスのパリではなくテキサス州のパリ(パリス)という街を目指して彷徨うロードムービー。
テキサスの砂漠に、ライ・クーダーの切ないギターが響きます。
女優ナスターシャ・キンスキーが美しく、サックス奏者のジョン・ルーリーも俳優として出演。