美しくてちょっぴりダークな世界観が癖になる「水葬」
ミニアルバム「hameln」の収録曲
若者を中心に人気の高いロックバンド、おいしくるメロンパン。
今回はそんな彼らが2018年にリリースしたミニアルバム「hameln」収録の「水葬」という曲を紹介します。
美しくて気だるい雰囲気が漂うバンドサウンド。
そして、そこに乗っかる少年のような声のボーカル。
その声で歌われるのは、水葬というシリアスなテーマ。
爽やかなはずのメロディーなのに、どこか重くて暗い空気を感じさせます。
その独特な世界観に酔いしれる人が続出しており、中毒性の高い楽曲ともいえるでしょう。
お洒落でエモいMVをチェック!
独特な世界観を味わってみたい!という方はぜひYouTubeに上がっている公式のMVをチェックしてみてください。
「水葬」という曲名になっていることもあり、MVの中では水を使った演出が出てきます。
中でも印象的なのは水位が増している水槽の中に入れられた犬のぬいぐるみ。
徐々に水の中に沈められていくその姿は、亡くなった誰かを葬っているようにも見えます。
そう、まるで水葬を行っている時のように。
また、MVの最後で水槽の栓を抜くのですが、その時に栓から抜けていく水の様子がまるで開いた瞳孔のように見えます。
このように、MVの中の所々に「死」を連想させる要素が散りばめられているのです。
思わず「エモい!」といいたくなるような映像は見ている人を釘付けにしちゃいます。
テーマは夜のプール!歌詞の意味を解説!
それでは、本題である歌詞の解説をしていきましょう。
この楽曲の作詞を行ったメンバーのナカシマさん曰く、テーマは「夜のプール」なんだとか。
ナカシマさんの家の近くには小学校のプールがあるらしく、そこからインスピレーションを得たと話しています。
単純にプールをテーマにした歌なら他にもありそうですが、なんていったってこの楽曲のタイトルは「水葬」。
夜の学校のプールから水葬を連想して一曲の作品を作り上げるとは、素晴らしい発想力ですね。
ちなみにミニアルバム「hameln」のジャケットも夜の学校のプールのイラストを用いています。
恐らくこの「水葬」のイメージをジャケットにしたのでしょう。
夜の学校のプールで一体どんなことがあったのか。
亡くなった人は一体どんな人物なのか、歌詞を追いながら解説していきます。
1番の歌詞
「君」が亡くなったことを表現した歌詞
「生まれ変われるなら鯨がいいな」
いつも窓をみつめる君の言葉
二重瞼が鈍く閉じた朝に知ったよ
世界はどこまでも薄情なんだね
出典: 水葬/作詞:ナカシマ 作曲:ナカシマ
まず、この歌詞に登場する人物は二人います。
主人公である「僕」と、亡くなってしまった「君」です。
「hameln」のジャケットを見てみると、制服っぽい服を着た女の子がプールサイドに立っています。
そのため「僕」が男だと仮定するなら、亡くなったのは女学生ということになるのでしょう。
この亡くなった女の子は生前に「生まれ変われるなら鯨がいいな」といっていました。
そんな言葉を吐きながら、窓をぼんやりと見つめていたのです。
窓から遠くを見つめていたり、人間ではない別のものに生まれ変わりたいといっていたこの女の子。
ちょっぴり鬱っぽい雰囲気を感じ取ることができますね。
もしかしたら、自分の人生に何かしら不満があったのかもしれません。
そして、その女の子の「二重瞼が鈍く閉じた」といっているので、亡くなったことを表現しているのでしょう。
女の子が亡くなった原因は?
沈黙する大気の底
君を攫って歩く
プールサイド
月夜の水槽
出典: 水葬/作詞:ナカシマ 作曲:ナカシマ
「君を攫って歩くプールサイド」という言葉に注目してみましょう。
女の子はプールで溺れて亡くなったと読み取ることができます。
事故なのか自殺なのかは不明ですが、何らかの拍子で夜のプールに足を滑らせたのでしょう。
「沈黙する大気の底」とは、プールの底に沈んだ女の子を指しているようです。
また、女の子が溺れたのは月が出ている美しい夜であることが分かります。
プールの水に反射する月の光。
そして、そのプールで亡くなっている女の子。
とても物悲しくて暗い光景が浮かんできますね。