“無駄じゃないよ”なんて言うけれど
悪いことなんてない方がいい

出典: 百鬼夜行/作詞:チャム(.△) 作曲:渡辺壮亮

「無駄なことなど何もない」とはよく聞く言葉です。

しかし言ってしまえば、それは慰めでしかありません。

過去の失敗や過ちを後悔しないための言葉です。

それはそれで必要な考え方ですが、綺麗事と言えなくもない。

失敗も過ちも無いに越したことはありません。

成功が続くなら、そちらの方が良いに決まっています。

ではなぜ、主人公は急にこんなことを思ったのでしょう?

人外のものと出会うことで、考え方が変わったのかもしれません。

それでは百鬼夜行を見たことは、主人公にとって良いことだったのか、悪いことだったのか。

勝ち目のない勝負をしたり、騙されたりしたことを考えると、あまり良いこととは言えないでしょうね。

美しさに形はいらない

あの夜
百鬼夜行を見た
寝顔に、キラリ
流れない夜も星は綺麗
君が掬える美しさの
かたちなんて聞かないで

出典: 百鬼夜行/作詞:チャム(.△) 作曲:渡辺壮亮

百鬼夜行を見たのは事実。

しかし、それが夢の中だったのか、現実だったのかが分からない。

覚えているのは、星が綺麗な夜だったということだけです。

人間の寝顔を「キラリ」と照らした光。

もしかしたらそれは星の輝きではなく、百鬼夜行が放つ光だったのかもしれません。

けれど輝きの正体なんて分からなくていいのです。

流れ星がなくても夜空が綺麗であるように、美しさに形は必要ない。

それは「百鬼夜行が夢か現実かなんて、どうでもいいでしょう?」という意味なのだと思います。

人間はただ美しい光景だけを覚えていればいい。

妖怪たちのそんな囁きが聞こえてきそうです。

カウント終了

2番に入るとまた謎のカウントが始まります。

そして、カウントはこの2番のAメロで終了。

結局このカウントには、どんな意味が隠されていたのか?

その答えに迫ります。

妖怪の時間が始まる

三つ目、丑三つでとおせんぼ
そろりそろり
あちらこちらで物語は突然終わる

出典: 百鬼夜行/作詞:チャム(.△) 作曲:渡辺壮亮

「三つ目」で行われるのは「とおせんぼ」。

「丑三つ」とは午前2時から2時半にあたる時間のことです。

この時間帯はもっとも幽霊や妖怪に出くわしやすいと言われています。

主人公もきっとこの時間に百鬼夜行を見たのでしょう。

人間の生きる時間は突然終わりを告げ、妖怪たちの時間が始まる。

ここの歌詞で歌われているのは、その様子なのだと思います。

人間が妖怪に変わっていく?

四つ目についに届きそうだ
ウインクをちょうだい
結末を誰もが血眼で追って
知りたくないことばかり知る

出典: 百鬼夜行/作詞:チャム(.△) 作曲:渡辺壮亮

とうとう最後のカウント「四つ目」。

なんだか急におどろおどろしい歌詞に変わりましたね。

百鬼夜行が向かう先を、人間は血眼になって追っている。

そんな人間の姿こそが、本当の妖怪みたいで……。

もしかして、それが「知りたくないこと」なのではないでしょうか?

カウントされていたのは、妖怪に変わっていく人間の数。

少し深読みしすぎかもしれませんが、そう考えるとかなりぞっとする歌詞ですね。

妖怪との勝負に負け、騙され、人間の時間が終わり、百鬼夜行の列はどんどん長くなっていく。

こんな恐ろしい光景、どうか夢でありますように。

そんな願いが、さらに夢と現実の区別をつかなくしているのかもしれません。

妖怪乱舞を夢に見そう

カウントが終わっても百鬼夜行は続いていきます。

美しく人を惑わせる、妖怪の群れ。

それは夢よりも曖昧で楽しげな光景だったようです。

曖昧な歌詞に振り回される

鼻につくあの子にゃ恋い焦がれ
誰もが他人事、期待はもう無し
羅針盤に頼らなくても
道がなくても歩いている

出典: 百鬼夜行/作詞:チャム(.△) 作曲:渡辺壮亮