1stアルバム『教育』に収録された一曲
1stアルバム『教育』について
東京事変が結成されて最初にリリースされたアルバムがこの『教育』です。
様々なジャンルが入り乱れ、椎名林檎さんのソロ時代には見られなかった世界観が詰まっています。
メンバーのスケジュールの都合で4日間で全曲レコーディングしたという逸話もあるほど濃いアルバムです。
後期の安定感とハイセンスな東京事変も魅力的ですが、この初期メンバーもまた魅力的なんです。
個性のぶつかり合いのような勢いと攻撃性を持ちつつ、全体に漂う妖艶さが魅力でした。
そんな初期の東京事変の魅力が凝縮した曲。
それが今回ご紹介する『入水願い』です。
シングルである『群青日和』と『遭難』の間に位置する曲順で収録されていますが、負けていません。
これもシングルで出して良かったのではないかと思うクオリティとなっています。
では、まず『入水願い』というタイトルから解説していきましょう。
『入水願い』という言葉の意味
タイトルにある『入水』。
意味を調べると下記のようになります。
にゅう‐すい〔ニフ‐〕【入水】
[名](スル)
1 水にはいること。「入水前の準備運動」
2 水の中に身を投じて死ぬこと。じゅすい。「入水自殺」
出典: https://dictionary.goo.ne.jp/jn/168279/meaning/m0u/
この曲においては、後者の意味で使われています。
ですのでタイトルは『じゅすいねがい』と読みます。
『入水自殺することを願い出る』
そういう意味になります。
何故なのか。
その理由を解説していきましょう。
ちなみに上記の記述からおわかりいただけるように、”そういった内容”です。
内容に過激な部分が含まれるので、お読みになる場合は何卒ご注意を…。
『目的地』に向かう道すがら巡る思考
今更どうしようもないという諦め
自分の世界を飛び出す勇気を持てた暁に
今迄吐いた下らぬ嘘を美化して下さる?
でも多分無理 疲労が超えてる
出典: 入水願い/作詞:椎名林檎 作曲:椎名林檎
私が新たな視野で物事を判断できるようになったとしたら
これまで強がって吐いた嘘を貴方は許してくれますか?
恐らく相手の男性との関係において、彼女は至らぬ点が多かったと反省しているのでしょう。
そのため、強がりから様々な心にもない言葉を浴びせていたことが伺えます。
そういった反省を述べながらも、それができないことを自分で理解しているのです。
これまで許せなかったことを許せるようになったり、相手を受け入れたり。
そのようなことはこれまでもたくさん試してきた。
でもできなかった。
だから自分にはもうできないのだという諦めが最後の一文に現れています。
貴方に合わせることに疲れ切っているのだから
そこまで彼女は追い詰められているのです。
さらに重ねる空虚な嘆願
他人の期待を受け止める意思を持てた暁に
貫いてきた下らぬ倫理を認めて下さる?
また同じこと 繰り返している
出典: 入水願い/作詞:椎名林檎 作曲:椎名林檎