「ノーサイド」のモデルになったラグビーの試合は?
「ノーサイド」は1984年1月にリリースされました。1980年代の冬の代表的スポーツはラグビーでした。夏の終わりから始まるリーグ戦の上位チームが決まるなど、見ごたえがある試合が見られるのは1月。
全国の高校生が熱い戦いを繰り広げる、全国高等学校ラグビーフットボール大会も、12月~1月の冬に行われます。
「ノーサイド」の歌詞のモデルになったのは、1984年度第63回全国高等学校ラグビーフットボール大会の決勝戦。「ノーサイド」のホイッスルが鳴る前に、こんなドラマが生まれました。
この曲が生まれたきっかけとなったのは、全国高等学校ラグビーフットボール大会での「伝説の一戦」とされる、1984年1月7日に行われた第63回大会決勝・天理対大分舞鶴戦である。この試合は、後半ロスタイムに入り大分舞鶴がトライを決めて18-16にまで迫り、決まれば同点で両校優勝となるゴールキックを主将のFB福浦孝二が左に外し、その直後ノーサイドの笛が鳴っている。
出典: https://ja.wikipedia.org/wiki/ノーサイド_(曲)
1984年当時はトライ4点(1993年から5点)、ゴールキックを決めれば2点が加点されます。同点になって両校優勝の歓喜に包まれるはずの競技場は、予想もしなかった静けさを迎えることになりました。
この試合の様子をテレビで観戦していた松任谷由実さん。フィールドに立つ彼らの選手生活が終わる残酷さに、心を掴まれました。揺さぶられた心のままに歌詞になる言葉が次々と生まれました。
私は歌詞の中に“長いリーグ戦”という言葉が出てくるので、大学や社会人のリーグ戦を歌ったと信じていました。それについてはこのような説もあります。
「長いリーグ戦締めくくるキック」のフレーズがあることを踏まえ、『日刊スポーツ』は当時早稲田大のSOだった本城和彦を指して「『ノーサイド』誕生のきっかけの1つ」と述べている。
出典: https://ja.wikipedia.org/wiki/ノーサイド_(曲)
モデルとなった本城和彦さんのポジションSOはスタンドオフ、司令塔の役割を担います。当時低迷していた早稲田のラグビーを復活させた大変人気のある選手でした。
全日本の代表にも選ばれましたが、大学時代の輝きが取り戻せないまま、選手生活を終えています。
1980年代は、ラグビーの試合中継が多く、スポーツ新聞や一般紙のスポーツ欄での扱い面積も大きい時代。
イギリス発祥の紳士的スポーツ、ラグビーは人気があるスポーツでした。「ノーサイド」という言葉は、曲と共に浸透しました。
「ノーサイド」の精神は?
ノーサイドを辞書的(ウィキ的?)に解説すると次の様になります。
ノーサイドは、ラグビー(特にラグビーユニオン)において、試合終了のことを指す(英語圏でもかつては「No side」が使われていたが、現在では「Full time」が使われている)。戦い終えたら両軍のサイドが無くなって同じ仲間だという精神に由来する。
出典: https://ja.wikipedia.org/wiki/ノーサイド
「ノーサイド」は日本だけで使われている言葉です。戦いは試合が行われている間だけ、ホイッスルが鳴って、「ノーサイド」が告げられれば敵でも味方でもありません。
試合以外は平和で友好な関係を重視する「ノーサイド」の精神は、日本のラグビーだけではなく、生き様にも影響を与えています。
最初のリリースはユーミンじゃない?!
1984年1月にリリースされた「ノーサイド」を歌っているのは、松任谷由実さん本人ではなく1人の女子シンガー麗美さんです。
麗美さんの声が好きだったのに忘れていました。麗美さんのプロフィールも確認です。
麗美(れいみ、REIMY、1965年1月6日 - )は、日本のシンガーソングライター。
1984年1月1日、松任谷正隆・由実夫妻の全面的バックアップでデビュー。 アルバム3枚を制作後、松任谷夫妻の元を離れているが松任谷正隆は著書の中で『自分の音楽性に目覚めて去ってしまった』と綴っている。
出典: https://ja.wikipedia.org/wiki/麗美
麗美さんは松任谷由実さんの作品「愛にDESPERATE」(シングルレコード)で、1984年1月1日にデビューしました。
「ノーサイド」は同年1月21日リリースのアルバム「REIMY」の収録曲として発表されました。「ノーサイド」はシングル化されませんでした。
ハードなスポーツのラガーマンを歌う内容と、麗美さんの少女感が残る声とビジュアルのコラボで、音楽界を魅了。デビューアルバムの「REIMY」の売上げは、最高位16位を記録しています。
麗美さんは今でも音楽活動を続行中。どこかで大人の麗美さんの声に出会えることを楽しみにしています。
1984年12月に松任谷由実さんの16枚目のアルバム「NO SIDE」がリリースされました。
誕生の秘密が沢山ある「ノーサイド」は名曲の条件を満たしていますね。お待たせしました。この後は歌詞とコード譜の紹介です。
今もラガーマンの定番ソング♪
彼は目を閉じて 枯れた芝生の匂い 深く吸った
長いリーグ戦 しめくくるキックは ゴールをそれた
肩を落として 土をはらった
ゆるやかな 冬の日の黄昏に
彼はもう二度と かぐことのない風 深く吸った
出典: ノーサイド/作詞:松任谷由実 作曲:松任谷由実