拳翳せ!ほら早く!
ここから君の番だろ
秘めた想い握りしめ
クールに決めてやれ
嗚呼 憧れだ
イケ!イケ!凡人!
出典: 負け犬至上主義/作詞:スズム 作曲:150P
英雄は1人で戦っているわけではありません。
町角で応援してくれる人々、またテレビ番組であれば、テレビの前で応援する視聴者が必要です。
A弥は応援してくれる人たちを「君」と呼び、みんなの協力を呼びかけているのです。
みんなの力がA弥に集約し、それで悪を打ちのめす。
ドラマ性の高い展開です。
しかも、A弥が背負っているのは平和への願いだけではありません。
A弥には想い人がいるのでしょうか。
あるいは、A弥に思いを寄せている人がいるのかもしれません。
まだ明らかにされていない恋の気配も感じられます。
ここで「恋」と限定してしまうのは、歌詞に出てくる「想い」の字からによります。
よく使う「思い」は、単なる考え、思考を意味するニュアンスが強い字です。
対して歌詞に使われている「想い」は、主として恋心を意味します。
仮にA弥が窮地に追い込まれた時、この恋心が強い原動力になるかもしれません。
手に汗握る、熱い展開が期待できそうです。
ドラマ性は、これでばっちり。
A弥の空想は膨らみ、憧れがどんどん大きくなっていきます。
望み続けていれば、いずれ叶うかもしれません。
A弥は自分がごく普通の一般人であることを自覚しながらも、心を躍らせています。
天才、現る!
注目を集める秀才
唐突に空を眺め
蘇るあの日々
嘘じゃない夢のようだ
ボクは出来るエリート
出典: 負け犬至上主義/作詞:スズム 作曲:150P
曲は2番に入りました。
A弥は再び空を見上げ、新しい空想を膨らませています。
その中では、A弥に返却されるテストに100点の文字が。
彼は頭のキレる秀才なのです。
ちなみに、頭が良いことを表す言葉はいくつか種類があります。
「天才」「秀才」「優秀」などがよく使われるでしょうか。
歌詞に登場する「エリート」は、それを越えた呼び名です。
英単語「elite」には、「選ばれた者」という意味があります。
単に賢い人ではなく、賢い中からさらに選り抜きの天才、というニュアンスでしょうか。
A弥は他の追随を許さない、唯一無二の天才少年なのです。
眼鏡イケメンが微笑む
立ち塞ぐ問いは愚か
教師すらなぎ倒す
テスト中 数多の謎
「ボクが解いてあげるよ?」
出典: 負け犬至上主義/作詞:スズム 作曲:150P
天才のA弥にとって、授業で出される問題は簡単すぎるのでしょう。
先生もとっくに追い越して、彼の前に立ちはだかる難問などありません。
眼鏡をかけたA弥は優しい微笑みを見せます。
クラスメイトたちが分からないところを優しく教えてあげているのでしょうか。
ちなみにですが、歌詞の1行目「愚か」の言葉はダブルミーニングの可能性があります。
1つ目の意味は、もちろん立ちはだかろうとする問題の愚かしさを指摘すること。
1番では「問い」が「敵」になっていました。
そして2つ目の意味は、「~はおろか、~すら」という使い方をする言葉です。
歌詞に当てはめると、「難問だけではなく、先生まで倒してしまう」という意味になります。
A弥の強さが象徴されている1文です。
微かな自嘲も込めて?
へたくそに照れて
不器用に笑う
「本当」「本当」「本当」「本当」は
憧れなんだろ?
出典: 負け犬至上主義/作詞:スズム 作曲:150P
とはいえ、天才少年も完璧ではありません。
難問は解けても、人と話すのは少し苦手なのでしょうか?
しかし「ギャップ萌え」という言葉もある通り、人は多面的な誰かに憧れることの多い生き物です。
天才少年の不器用なところも、彼の魅力になりえます。
さて、続く「本当は~」は、一体誰に向けた歌詞なのでしょうか?
これはおそらく、天才A弥を羨む他のクラスメイトたちへの言葉と考えられます。
同時に、A弥自身への自嘲も含まれているかもしれません。
実際のA弥はどちらかというと内気で根暗な性格のようです。
わざわざ「天才エリート」に憧れているくらいなので、勉強も苦手かもしれません。
人は憧れの対象に「羨ましい」といえる時と、へそ曲がりになって口に出せない時があります。
憧れたものに手が届かないあまり、「きっと良いものじゃないさ」と無関心を装うのです。
もしかするとA弥も、同じような態度を取っているかもしれません。
A弥のクラスにも、おそらく頭が良いと噂される人がいるはずです。
A弥は本心では、彼または彼女を羨ましく思っています。
ところが、あまりにも学力の差があり追いつけないために、興味のないフリをしているのです。
ですが、ここはA弥の独壇場。
なんでも好きなことがいえます。
そこで隠さずに、実は羨ましく思っていたことを告白しているのでしょう。
クラスの人気者
風を抜いて!なぁ エリート!
みんなが望む姿へ
誰も彼も大好きで
クラスの中心
出典: 負け犬至上主義/作詞:スズム 作曲:150P
誰もが憧れる人気者。
みんなに好かれるスター。
そんな輝かしい姿を羨ましく思う人は多いのではないでしょうか。
A弥は「みんなの憧れ」を自分の身で実現してみせます。
頭が良く、口下手だけれど優しい。
みんなに好かれていて、いつも輪の真ん中にいるような人。
天才少年A弥は、みんなの欲しいものをすべて持ち合わせています。
キザに決めろ!ほら シャンと!
歩けば悲鳴歓声
頭なんて撫でた日にゃ
女子達卒倒
嗚呼 イケメンだ
GO!GO!凡人!
出典: 負け犬至上主義/作詞:スズム 作曲:150P