みんなからの人気を獲得する天才少年は、同時にイケメンともてはやされもするようです。
どこを歩いても、黄色い歓声がついてくる。
学校中を巻き込んだ、A弥の人気ぶりが想像できます。
MVでは、鼻血を出している女の子がいるほどです。
願いは加速する
世界の中心はA弥!
告げた願いは叶い
なんでもやり放題
イケメンヒーローだとか
全然足りない
「もっと」
出典: 負け犬至上主義/作詞:スズム 作曲:150P
ここまで、A弥は2つの願いを叶えてきました。
子どもの頃から憧れていた「悪の英雄」と、みんなから好かれる天才少年になることです。
ですが、彼はここでは満足しません。
世界はもはや、彼を中心に回り出しているのです。
A弥はさらなる高みへ願いを重ねていきます。
完璧すぎる悲しさ
悲しい程パーフェクト
「僕らが望む世界だ…」
出典: 負け犬至上主義/作詞:スズム 作曲:150P
しかし、加速する理想像は心を対比的に見せていきます。
急に物事が上手くいきはじめると、若干の悲しさを感じることもあるかもしれません。
苦労していた頃、上手くいかなかった頃を思い出し、少し切ないような思いにもなるのです。
これまで苦労と努力を重ねてきた分、簡単に成功するのは手応えが少ないからでしょうか。
理由は人によって様々かもしれません。
A弥もこの完璧な世界を愛しながら、同時に切なさを感じています。
とはいえ、完璧な世界を嫌がっているわけではありません。
ついにA弥の理想がすべて実現しているのですから。
最後にして最大の夢
母も悪もなぎ倒し
「絶対王政」
ラスト行くよ!ほら 拍手!
母の怒号引き裂いた
出典: 負け犬至上主義/作詞:スズム 作曲:150P
学生にとって、親は味方であると同時に脅威的な存在にもなりえます。
それこそ、悪の親玉に似て見える時もあるほどです。
英雄の力を手に入れたA弥は、悪と共に彼の母親も倒してしまいます。
これは物理的に倒すというより、精神的な自由を手に入れるというニュアンスでしょう。
「朝だから起きなさい」とか、「もう遅いから寝なさい」とか。
お小言を口うるさく感じていたのかもしれません。
曲もクライマックスに入り、A弥は観衆の拍手を求めます。
ところが、そこに割りこんできたのは母親の声。
噂をすればなんとやら、です。
A弥を待ち受ける結末とは
鳴り響いたベルは止む
舞台はここまで
「嗚呼 遅刻だ…」
まさ!かの!夢オチ!
出典: 負け犬至上主義/作詞:スズム 作曲:150P
理想像の終わりを告げるかのように、「ベル」が響きわたります。
目覚まし時計が8時20分前を告げている音です。
大体の高校では、まさしく8時20分までを目安に登校する時間割が組まれています。
A弥も悟った通り、今から身支度をしていては明らかに遅刻です。
そして、さらに悲しい事実がもう1つ。
A弥が築き上げた理想の世界は、すべて彼の夢に過ぎなかったのです。