小田和正「ダイジョウブ」
オフコースとしてのバンド活動を経てバンド解散後はソロとして活動を続けてきた小田和正。
私たちの心に直接語りかけてくるようなその歌声は類い稀な声質であるといわざるを得ません。
今回ご紹介するのはそんな彼の2007年4月25日に発売されたシングル曲「ダイジョウブ」です。
NHK朝の連続テレビ小説『どんど晴れ』の主題歌。前作「たしかなこと」以来約2年ぶりのシングル発売となった。
出典: https://ja.wikipedia.org/wiki/ダイジョウブ
小田和正の楽曲はその歌詞の表現においても高い評価を受けています。
彼の楽曲では音楽としてだけではなく、言葉としても歌詞が重要視されているのです。
ドラマの世界観にマッチした懐かしさと優しさを感じるその歌声によって語られる想いとはどのようなものなのでしょうか。
今回の記事では「ダイジョウブ」の歌詞の意味を解説していきます。
大好きな笑顔
大切な人
あの笑顔を見せて 僕の大好きな
時を止めてしまう 魔法みたいに
出典: ダイジョウブ/作詞:小田和正 作曲:小田和正
こちらが「ダイジョウブ」の冒頭の歌詞です。
この冒頭の歌詞で主人公は誰かに対して語りかけているようです。
その歌詞の内容からは相手への大きな好意が伝わってきます。
ここから分かるのはこの相手が主人公にとっての恋人や家族、もしくはそれと同等の大切な存在を指していること。
しかし具体的なことは明かされていないことからどのような人物像かを思い描くことは難しい表現です。
この2行では、主人公がその相手の笑顔に心底惹かれている様子が描かれています。
2行目の「魔法」という言葉はこのパート中、特に印象的な箇所です。
その笑顔に対して、主人公がこの世のものとは思えないほどの美しさを感じていることが分かります。
風が意味するものとは
風が流れている 絶え間なく 遠く離れた人たちの
想いを 誰かに 伝えようとしてるんだ
出典: ダイジョウブ/作詞:小田和正 作曲:小田和正
ここでは前述のパートとは異なるベクトルへと歌詞が進んでいきます。
主人公は前述で大切な人の好きなところを語っていましたが、ここでは唐突に「風」について語り出しました。
そしてその風という言葉が意味しているものも、その後の歌詞で説明しています。
誰かへの想いが、場所を越えて伝わる現象を描いているのかもしれません。
風の噂や風の便りという言葉があるように、想いというのは不思議なことに場所を超越し、伝わることがあります。
そういった神秘的ともいえる現象に関して、彼は言及しているのでしょうか。
ここでは人間が距離を越えて想い合う様子を風という言葉で表現したのでしょう。
笑顔は風と共に
風と共に伝わる笑顔
その笑顔は どんな哀しみにも
決して 負けたりはしないから
君の 大切な人にも 風に乗って きっと 届いてる
出典: ダイジョウブ/作詞:小田和正 作曲:小田和正
ここで再び笑顔という言葉が出てきます。
冒頭の歌詞との関連性が窺える言葉です。
主人公にとって、笑顔というものに対しての思い入れが感じられます。
またここでは、その笑顔の持つ力に対しても言及しているようです。
それは笑顔には哀しみを跳ね飛ばすほどのポジティブな感情が籠っているということ。
笑顔というのはこの楽曲の中で大事なキーワードの1つとなっているといえるでしょう。
想いを伝えようとしている「風」が、その笑顔さえも届けてくれるに違いない。
主人公のこの言葉からは祈りにも似たものを感じます。