どんなに高いタワーからも
見えない僕のふるさと
失くしちゃだめなことを
いつでも胸に抱きしめているから
遠く遠く離れた街で
元気に暮らせているんだ
大事なのは“変わってくこと"
“変わらずにいること"
出典: https://twitter.com/miuramasahiro76/status/881324767655059457
この楽曲が発表された時期を考えれば、タワーは「東京タワー」のことでしょう。
地元と今住んでいる街の距離感が上手に表現されています。
そして、遠く離れていても忘れてはいけないことは何かを確認するかのような歌詞になっています。
それは、力いっぱい輝ける自分に「変わっていくこと」と大切な友達を想い「変わらずにいる」気持ちではないでしょうか。
故郷を離れて東京へ出てきたからには、必ず成功してみせる!という強い覚悟。
そして、たとえ売れたとしても故郷にいる友との関係は変わらないという確信。
変化は進行していくような、そして不変は継続するような表現であることがキーポイントです。
もちろん歌手になることも変化ですし、歌唱力が上がることも変化でしょう。
作詞や作曲のスキルがアップすることも変化ですね。
しかしその変化には終わりがありません。あってはならないのです。
たとえ実力が認められて知名度が上がったとしても…。
たとえ売れて人気が出たとしても…。
常に「現在の自分自身」は更新し続けなくてはなりません。
だから変化は「進行形」なのです。
対して不変であることはいわば「決定事項」といえるでしょう。
つまりこちらは何があっても決して変わってはならないものだということ。
何かがその存在を脅かしたとしても揺らぐことのない、確固たるものです。
友との絆がこれにあたりますね。それほどまでに固く結ばれているのだとわかります。
たった2行の短いフレーズですが、このように大切なことがギュッと詰め込まれているフレーズでした。
故郷へ帰らない理由
同窓会の案内状
欠席に丸をつけた
だれよりも今はみんなの顔
見たい気持ちでいるけど
遠く遠く 離れていても
僕のことがわかるように
力いっぱい 輝ける日を
この街で迎えたい
出典: https://twitter.com/66_real/status/776210225757958144
そして、ここまで断固として今の街で頑張ると強がっていた姿勢を崩し、本当は今すぐにでも地元に帰って友達に会いたいという気持ちをストレートに表現しています。
しかし、「けど」と付け加えることで、これからも今住んでいる場所で戦っていく決意をより強いものへ変えていく締めくくりになっています。
きっと同窓会で心配してくれる仲間以上に、槇原さんも仲間を想っていたのでしょう。
見知らぬ景色の中、見知らぬ人々に囲まれながら戦い続ける日々。
その孤独感が募れば募るほどに、仲間への恋しさも募っていくのです。
それでも、その感情に流されずグッと飲み込む槇原さん。
冒頭のフレーズを再度繰り返すことで、自身の決意を再確認しました。
揺らがないように、そして迷わないように、これまで以上に気持ちを引き締めたのかもしれません。
その決意の固さは、続くフレーズからも感じ取ることができます。
僕の夢をかなえる場所は
この街と決めたから
出典: https://twitter.com/kashi_bot__/status/922258120616767488
どんなに友に会いたくても、どんなに仲間たちに会いたくても、すぐ故郷へ帰るわけにはいきません。
それだけの強い覚悟を持って上京した槇原さん。
先ほど解説した通り、改めて決意を固めた様子が綴られています。
まとめ
いかがでしたか?
たしかに歌詞を見てみるとすごくまっすぐに自分のことを歌っているように感じます。
槙原敬之の故郷は大阪府高槻市で、東京からは新幹線で行き来する距離であり、どんなに高いタワーに登っても東京からは見ることができません。
そうやって考えると、本当に私小説的ですが、地方出身で東京で頑張っている人はたくさんいるのではないでしょうか。
そして、その数と同じだけ、地元に残った友達もいます。
この楽曲が人気を獲得したのは、その両方の視点で共感できるからだと考えられます。
槙原敬之にとっては旅立って頑張る歌かもしれませんが、送り出し、遠く頑張る友人を想う側からもきっと共感できるはずです。
ということは、一気に私小説的では無くなります。
期せずして得た効果かもしれませんが、元々の槙原敬之のソングライティングセンスがあってこそではないでしょうか。
地元を離れて頑張っている人、そして、地元から遠く離れた友人がいる人は、ぜひ聴いてみてください。
お互いまた頑張ろうと思えるはずです。
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