真新しい世界の手招き
引き返せるはずはないでしょう
出典: 紅く、絶望の花。/作詞:la la larks 作曲:la la larks
歌詞は文字数が限られています。
さらにリズムにのって歌いやすい語感が求められます。
現実世界から異世界への転移をたった二行で描いています。
真新しい世界が転移後の首都です。
引き返せない状況は手も足も出ない主人公の運命と苦悩を表しています。
アニメは1話をかけて描かれますが、歌詞ではたったの二行です。
素晴らしい創作力です。
見えない敵からの視点で書かれた歌詞
主題歌は敵目線!?
紅い絶望の花を咲かせよう
出典: 紅く、絶望の花。/作詞:la la larks 作曲:la la larks
たいていのアニメの主題歌は主人公、または味方の視点で創作されます。
しかし、「紅く、絶望の花。」の歌詞は違います。
アニメで世界都市・東京を襲うのは紅い霧です。
その霧は主人公にとって望むものではありません。
紅い霧によって東京を異世界へと改変したいのは敵です。
歌詞では「紅い絶望の花」を紅い霧に喩えています。
つまり、絶望の花を咲かせたのは主人公を陥れた巨悪に他なりません。
一見、主人公や味方の視点で描かれているようですが、この歌詞は敵の視点で創造されたものです。
そのため、シンガーのJUNNAの衣装も黒を基調としたダークなイメージになっています。
映画「スターウォーズ」のダースベイダーを見ても分かるように敵性生物は”黒”なのです。
悪の親玉が純白のドレスで頭に花のヘアアクセサリーをつけていたら違和感を覚えるでしょう。
運命の日がトリガー
a night と the night は全く違う?
Tonight is the night
出典: 紅く、絶望の花。/作詞:la la larks 作曲:la la larks
日本人はあまり意識しませんが、
”a night”と”the night”は似ているようで全く意味合いが違います。
”a night”は今日の夜でも明日の夜でも構いません。単に一晩という意味です。
しかし、”the night”は特定の一日の夜しか指しません。
世間の誰もが知っているような、またはお互いが共通して知っている特定の夜です。
アニメ「ロード オブ ヴァーミリオン 紅蓮の王」では紅い霧の発生した日が”the night”です。
反対に”a night”にしてしまうと意味をなさなくなります。
例文:そのボーイフレンドが私の元カレです
例文を挙げます。
1.A boyfriend go to high school. (ボーイフレンドは高校に通っています)
2.The boyfriend is my ex. (そのボーイフレンドが私の元カレです)
設定としては友達に彼氏を紹介するカフェのシーンでしょうか。
最初の”a boyfriend”は(彼女のいる)男性です。話者との関係性は皆無です。
次の”The boyfriend”は、例文1で登場した高校に通っている男性です。
もし二つ目の文を”a boyfriend”にしてしまうと例文1と例文2の関連性がなくなります。
このように、”a”と”the”の違いは「知らない男性」と「友達の彼氏」ぐらいの差があります。
a boyfriend はただの知らない人ですが、the boyfriend は自分の彼氏だったり友達の彼氏の可能性があるのです。
東京を花に比喩
歌詞には造語が使われているの?
Reflower
出典: 紅く、絶望の花。/作詞:la la larks 作曲:la la larks
Reflowerは”Re”と”flower”を合わせた造語です。
英和辞典などにはありません。もっともそうした名前の花屋さんはあるかもしれませんが。
Reだけを翻訳するとしたら「再」でしょうか。
recover(回復)やrecycle(再利用)を眺めると分かりやすいでしょう。
英語の”re”には生まれ変わる、再び、もう一度といった意味合いが含まれています。
紅い霧によって枯れてしまった花(東京)を復活した花(re-flower)にさせようという思いがあるのです。
アニメを見たことのある方ならピンと来ることでしょう。