2011年は藍坊主にとってターニングポイントとなる年だった
2011年という年は、藍坊主というバンドにとって確かな区切りとなった1年でした。
この年にバンドは自身初の日本武道館でのワンマンライブを達成。
そして初のベストアルバム「the very best of aobozu」をリリースしたのも2011年のこと。
この作品と同時にリリースされたのが、通算12枚目のシングルとなる「星のすみか」でした。
武道館でのワンマン、ベスト盤のリリースと記念すべきことが重なったこのタイミングでリリースされたこのシングル。
これもまた、それらと肩を並べてバンドにとって記念すべき作品となったのです。
「星のすみか」はバンド初のアニメタイアップ
そう、「星のすみか」はバンドにとっては初のアニメタイアップになった楽曲。
当時放送されていた人気アニメ「TIGER&BUNNY」のエンディングテーマとなって話題を集めたのです。
今までよりもさらに幅広い層に届くことになることを踏まえて制作された、この曲の完成には約半年を要したという話。
このアニメタイアップの影響が間違いなくバンドに変化をもたらしていたことを物語ります。
これらの要素から、どう見てもバンドのターニングポイントと言える2011年。
この年に彼らがさらにシーンの中で存在感を増していったことは言うまでもありません。
その鍵を握るこの「星のすみか」という楽曲に今回は迫っていきましょう。
バンドが積み重ねて来た確かなものを感じさせる楽曲
グッドメロディに次ぐグッドメロディ
イメージで言うとここから大冒険が始まっていくような、そんなワクワク感を称えるAメロ、Bメロ。
そしてサビでは希望が溢れ出すようなメロディが繰り広げられます。
グッドメロディに次ぐグッドメロディの応酬。
それだけバンドが気合いを入れた1曲だということが、その音像からひしひしと伝わってきます。
ギターロックの域を逸脱したサウンド
いわゆるギターロックと呼ばれるこういった楽曲ではその名の通りギターが前面に押し出されるもの。
この曲にしたって、2本のギターがそれぞれに主張する展開はまさにギターロックのそれです。
しかし注目していただきたいのはリズム隊の存在感。
1番メロ部分などはギターを抑えたアレンジになっていてわかりやすいのですが、ギターが主張する部分でも変わらずその存在感が残り続けているのです。
これだけ個々が主張しながらも、それぞれの輪郭がくっきりと見えてくる。
メロディの良さだけではなく、サウンド自体が明らかに単なるギターロックの域を逸脱しているのです。
そのサウンドが積み上げて来たものを物語る
デビューから7年目にして初のアニメタイアップ。
ここに来て積み上げて来たものが実を結びつつあることを、そのサウンドも物語っています。
そこから希望が溢れ出すかのような演出は、この楽曲に込められた力強いメッセージを感じさせます。
引き続いて歌詞の内容を解釈して参りましょう!
星空を見上げたときのワクワクする感覚は
輝き続ける光った星から、輝き続け、光ったあの空から、
黒いソーダ水、飲みこんだような、胸いっぱいの、夜めく心。
出典: 星のすみか/作詞:佐々木健太 作曲:佐々木健太、藤森真一
子供の頃なんかは特に、夜に輝く星空の幻想的な姿に胸を躍らせたりしたものです。
「黒いソーダ水」というのは、そんな夜のワクワクを表したもの。
普通の水ではなく、ちょっぴり刺激的なソーダ水です。
夜にしかその姿を表さない、決して手を触れることはできないそれを眺めて感じるのは未知の物に出会ったような感覚。
星が手の届かない場所にある限り、きっとそのワクワクは続いていくのでしょう。