間奏が入った後に、もう1度Aメロが繰り返されます。
ここでは少し2人の関係は近くなり、歌詞のトーンも明るくなります。
しかし未来が見えるのに、現実はがんじがらめであることも表現しています。
星野さんの歌詞には、どんなに明るくても孤独な部分が出てきます。
それは「不思議」でも感じられるようです。
現実ががんじがらめであっても、出会えたことは喜びです。
恋は現実であり、希望を見出してくれる存在といえるでしょう。
違う人間への恋心
幼い頃の記憶 今夜食べたいもの
何もかもが違う
なのになぜ側に居たいの
他人だけにあるもの
出典: 不思議/作詞:星野源 作曲:星野源
この部分でまたリズムが変わり、転調します。
2人のストーリーがひとつ、展開する部分です。
相手の違う部分が見えてくる部分です。
同じ記憶を共有しているから好きになるわけでもない。
好きなものが同じだから好きになるわけでもない。
これが恋の「不思議」です。
ドラマ『着飾る恋には理由があって』でも価値観の違う男女の恋愛が描かれています。
違うからこそひかれあう心が誰にでも共感できる言葉で表現されている部分です。
愛に素直になれない思い
“好き”を持った日々を ありのままで
文字にできるなら 気が済むのにな
まだ やだ 遠く 脆い
愛に足る想い
瞳にいま 宿り出す
出典: 不思議/作詞:星野源 作曲:星野源
ここでまたリズムが変わり、サビの盛り上がりに入っていきます。
サビでは恋の喜びを歌うのかと思ったらそうでもないところが「さすが」と思わせる裏切りです。
好きだと思っていることが嬉しいはずなのに、表現できないもどかしさ。
愛しているはずなのに、ネガティブな言葉が飛び出してきてしまう裏腹な思い。
そんな複雑な気持ちのなかで愛が始まっていることが表現されているのでしょう。
まだ愛は不確かなもの
この世界が生きづらい場所でも
きらきらはしゃぐ この地獄の中で
仕様のない身体 抱き締め合った
赤子に戻って
出典: 不思議/作詞:星野源 作曲:星野源
2番は再び少し静かなトーンに戻り、Aメロが始まります。
世界が美しく輝いている様子の一方で、それを美しいと思えていない主人公がいます。
理性ではなく、本能で行動してしまう様子が描かれています。
未来を考えてしまうと、不安やさびしさが襲ってきてしまうのではないでしょうか。
だから、目の前にいる相手と体を重ねることで確かなものを得ようとしているのでしょう。
まだ愛の確かさには行きついていないようです。
他人と生きる間違いだらけの人生
躓いて笑う日も 涙の乾杯も
命込めて目指す
やがて同じ場所で眠る
他人だけの不思議を
出典: 不思議/作詞:星野源 作曲:星野源
2番のBメロには、また相手と自分は違う人間だという表現が出てきます。
しかし、悲しいことが起こっても笑っていたり、不思議な感情が表されているのはなぜでしょうか。
違うバックグラウンドを持っているからこそ、共有できるのが嬉しい。
悲しい事さえ、一緒に乗り越えられるのが嬉しい。
そんな気持ちになるのではないでしょうか。
他人だから分かり合えないようでありながら、少し分かり合えれば感動できる気がします。
2人が一緒にいる意味が伝わってくる部分です。