ウルフルズのアルバム
剥き出しの音楽
ダンスミュージックあり、おふざけあり、涙あり、そしてなにより生きる元気をくれるウルフルズの音楽。
30年もの間、多くのファンに愛され続けてきました。
しかし彼らの歴史を辿ってみると、けっこう山あり谷ありなバンドであったことがわかります。
ジョン・Bの脱退があったり、突然の活動休止があったり。
楽しそうなイメージとは裏腹に、苦しい道を乗り越えてきたバンドなのです。
ウルフルズは、その時々の状況や精神状態が、はっきりと音楽に反映されるバンドでもあります。
作詞作曲を担当するトータス松本は、自分の強さも弱さも隠すことなく全てさらけ出して音楽を作ってきました。
そんな剥き出しの人間らしさが、ウルフルズの魅力を形作ってきたのです。
10位 Let's Go
ノリに乗っている頃のウルフルズ
このアルバムは3rdアルバム『バンザイ』の、爆発的大ヒットの余韻覚めやらぬ中リリースされました。
大ヒットで高まった人気を不動のものにできるのか?という期待の中、満を持してリリースした『Let's Go』。
しかし期待とは裏腹に、バンドの勢いは失速してしまいます。
大ヒット後の重圧の厳しさを感じさせる、どこか乗り切れていないテンションと迷い。
第二の『ガッツだぜ』や第二の『バンザイ』を模索しているかのような、ハッキリしない音楽性。
アルバム全体に、不自由さの中でもがく彼らの苦悩が漂っているかのようです。
それでも最終曲『そら』の暖かい歌声と演奏は、ウルフルズの底力を十分に示しています。
9位 KEEP ON, MOVE ON
強い想いが胸を熱くする
2007年発売11枚目のアルバムです。
ウルフルズには珍しく、シリアスな雰囲気でアルバムが始まります。
『たしかなこと』『泣けてくる』など感傷的な歌詞が目立ち、考え込んだようなトータス松本の表情が目に浮かびます。
それと同時に、弱りきった心に呼びかける応援歌『情熱 A Go-Go』のパワフルさにも惹きつけられます。
これまでにないシリアスな雰囲気は、ウルフルズの新たな方向性を示唆しているかのようです。
とはいえ7曲目の『キーポン節』と8曲目の『ムーボン音頭』では、得意の遊び心をしっかと堪能できるのでご安心下さい。
終盤にはゆったりとした、聞きやすいライトなラブソングが並び、心地よい雰囲気でアルバムは終わっていきます。
これまで以上に、聴かせるということを強く意識したアルバムです。
8位 ボンツビワイワイ
得意分野で真っ向勝負
ステッペンウルフのパロディーのようなアルバムタイトルに、思わず吹き出してしまいます。
『ワイワイするために生まれてきた。』
とのタイトル通り、終始アメリカのパブを思わせる効果音の中で、賑やかな雰囲気の曲が並びます。
ソウルミュージックやブルース、ロカビリーなど、演奏しているジャンルがハッキリと示されているのも特徴的です。
バンドの演奏もカッコよく、これまで見せてこなかった、渋くて大人なミュージシャンの表情を垣間見せています。
何よりトータス松本の、迷いの無い歌声には驚かされました。
『チークタイム』で聞かせる、往年のブルース歌手を思わすような歌いまわしは圧巻。
『スポーティーパーティー』では、まだ聴いたことのないトータス松本の新しい歌声を披露してくれています。
ウルフルズが得意分野で真っ向勝負したアルバムと言っていいかもしれません。
7位 Stupid&honest
初のベストアルバムがラブソングベスト
初のベストアルバムがラブソング集というのも、ウルフルズの懐の深さを感じさせます。
ストレートで正直な、等身大のラブソングの数々。
Theピーズ、RCサクセション、サム・クックなどのカバーも聞かせてくれます。
ウルフルズの、安らかで暖かな一面を堪能できる一枚です。