「ロックンロール」というタイトルですが嬌声で日々を歓びに満たすという歌ではありません。

もっと地に足をつけて地道に人生を歩みたいという僕の考えはロックのパブリック・イメージとは遠いです。

さらにロックンロールという単語も歌詞の中には登場しません。

一方で僕はビートというものにこだわっています。

それもエイトビートなのだと僕は確信を持つのです。

そのビートは永遠に僕のバックグラウンド・ビートとして響きます。

僕はクリアな空にグライダーを発見しました。

その飛行体に向けて僕はつぶやくのです。

さよなら また明日 言わなきゃいけないな

出典: ロックンロール/作詞:岸田繁 作曲:岸田繁

僕は亡くなった人へとりあえずのロング・グッド・バイの挨拶をします。

とりあえずはお別れだねと認めるのです。

しかし明日からも思い続けるからと誓います。

お別れをいわないと相手の魂は天国へ向かえませんからこそお別れの言葉はいわないといけないのです。

それでも明日も彼・彼女を思うことも同時に伝えて忘れられることに怯える死者を安心させます。

私たちは親しい人が亡くなって衝撃を受けた喪の日々を過ぎると日常生活に戻るでしょう。

何年後かには彼・彼女のことを思い返さなかった日々が何日も何週間も続くのです。

しかし親しい人を喪ったショックから立ち上がろうという途中の僕を岸田繁は描きました。

この僕はまだまだ明日も彼・彼女と会話をするように生きようと決意します。

くるりの「ロックンロール」は多くの人を惹き付けるパワー・ロックです。

一方で親しい人を亡くした経験を持つ人によって深く理解されることを願ってもいます。

深夜に友人から電話があって、誰々が今夜に亡くなったと知らされたときの衝撃。

生前の記憶の中ではずっと笑顔だったような人でも簡単に天国の扉をノックしてしまいます。

その死の影に何があったのだろうかと遺された私たちはずっと考え続けるのです。

そして同じように悩んでいる僕をくるりの「ロックンロール」の中に発見します。

多くの人を惹き付けてやまない魅力をこの曲が持ち続けている意味をもっと深く考えたいものです。

それはこのような記事の中ではなく、リスナーの記憶の中で微笑む人との会話の中が相応しいでしょう。

気付いたら今日も明日も彼・彼女と会話していた。

それでもいいと思わせてくれるのがこの曲の最大の魅力でしょう。

色々な人を思い出して忘れずにいる意味を、私たちはくるりの「ロックンロール」で知ることができます。

ここまで読んでいただいてありがとうございました。

OTOKAKEとくるりの軌跡

くるり【ロックンロール】歌詞の意味を解釈!言わなきゃいけないことって?刻むビートに乗せた想いを紐解くの画像

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