ファンとの向き合い方
「近いけど遠い」。
あなたがこういわれた時どう思うでしょうか。
このように全く反対の言葉を同時に使われると少々混乱してしまいますね。
しかし、これは「ファン」に対する雫さんの思いがはっきり現れている表現だと思います。
ミュージシャンとしてファンがつくのは喜ばしいことです。
しかし、当然ながらそのすべての人と親しくなるようなことはありません。
ファンであるあなたの住所だって、家族だって知らないわけです。
しかし、それでもファンを愛しているのだという意思こそこの言葉ではないでしょうか。
こう表現することで、なんだか雫さんも対等にファンを愛しているような印象を受けますね。
これはステージに立っていてかつ、本当にファンを、「あなた」を愛しているからこそ出てきた表現だと思います!
「ギターなんか弾かなくていい」の意味は?!
ニーズをくんだ音楽の根底にあったもの
愛するあなたが欲しくないのなら
ギターなんて弾かなくていい
ただこの愛を気に入ってくれるなら
生まれ変わってもここにくるだけなんだよ
出典: ラブコール/作詞:雫 作曲:雫
この歌詞にも、雫さんの徹底した「利他主義」が現れていると思います。
「あなた」(=聞いてくれる人)が求めていないのなら、ギターは弾かないというのです。
つまりステージに立たないといっているんです。
これはミュージシャンとして非常に意外ではありませんか?
自分たちの音楽をやりたい。
これはやりたかった音楽ではない。
そういうロックンローラーは日本だけでなく世界中にいます。
しかし、やりたかった音楽にのせた歌詞は「ギターなんて、」です。
そうです、音楽はツールでしかないんです。
このコテコテのロックな曲を作ったのも、ロックというツールを使いたかったからでしょう。
ロックを嫌っているわけではないんです。
こういう音楽に対する考え方こそ、ポルカの1番の魅力ではないでしょうか。
あなたたちを幸せにするとは?!
ここまで考えてくると、1番Aメロの歌詞がなお一層刺さると思います。
近くて遠いあなたたちを
まとめて幸せにしたい
出典: ラブコール/作詞:雫 作曲:雫
音楽というツールを使って、1人1人とは向き合えないけど多くの人を幸せにしたい。
こう言っているわけです。
多くの人を幸せにすることこそ、ポルカの音楽の目的だったのでしょう。
幸せにできないのなら音楽はやめるという思いやりの心が見えてきます。
この曲が出した結論とは?!
雫さんの痛烈な叫び
どうでもいい言葉に縛られたくない
型にはまって それっぽいことを叫ぶ
そんなことを単にロックというならば
聞けよ
私はロックじゃなくていい
出典: ラブコール/作詞:雫 作曲:雫
ここの歌詞は、強烈です。
この曲がロックであることがそのまま「ロックへの強いアンチテーゼ」になっている。
世の中に蔓延る、それっぽいロック。
ロックはこうあるべきという形式。
それを見事に粉砕した、この曲とポルカの雫さんという存在。
「聞けよ」が、とんでもなく痛烈な叫びに感じられてきます。
聞けよ!彼女の結論を
この曲の結論はここにあると思います。
上で書いてきたように、この曲は「なぜ音楽をするのか」をストレートに記した曲です。
「ポルカはロックバンドではない」と主張するポルカ。
そんなポルカがこのロック曲を世に出すことで生まれる強いアンチテーゼ。
これが本当のロックだろ?!
そういうメッセージにもとれると思います。
この曲はポルカが自分たちの音楽と、ロックに対して出した結論だったんですね。