郷ひろみ「哀愁のカサブランカ」
ジャケット写真が激シブ&ヴィンテージもので眩暈がしそうです。しかもギラギラした目に撃ち抜かれてしまいそう。
今回お届けするのは、郷ひろみさんの「哀愁のカサブランカ」でございます。1982年、つまり今から35年ほど前にリリースされました。いやぁやはりいいですね、80'sも。
ただ注意したいのは、この曲、郷ひろみさんのオリジナル曲ではありません。フロリダ出身の歌手・Bertie Higginsによる"Casablanca"という作品のカバーです。本家も激シブで英詞もシビれまくるのですが、郷ひろみさんバージョンはまた違う芳醇さで楽しませてくれます。
それでは早速、Higginsさんの"Casablanca"に続けて、郷ひろみさんバージョン「哀愁のカサブランカ」を視聴していただきましょう。
本家はこちら
郷ひろみバージョンはこちら
し、しっぶー!
棒立ちで歌ってらっしゃるというのにこの貫禄ですよ。眼差しや背中だけで言語表現ができてしまっているのが漢です。役者です。顔立ちの良さはもちろんなのですが、内に秘めている知的さや目元の憂いを帯びた感じが只者ではありませんね。
しかし一度だけ、メインと言わんばかりに目を細め熱唱する部分は大変抒情的ですね。こちらの顔まで悲痛に歪んでしまいそうです。ここぞというときにちょっとだけ感情を出すということがいかにインパクトがあるか、ということについてもコメントしたいところですが。これはまたの機会に。
本家や原曲はリズミカルで少々ポップ感もありますが、この動画ではだいぶしっとり感がアップされてとんでもない湿気感に心打たれてしまいます。
「哀愁のカサブランカ」の歌詞の意味は?
若すぎて盲信的だった
抱きしめると いつも君は
洗った髪の香りがした
まるで若すぎた 季節の香りさ
結ばれると信じてた
出典: http://www.utamap.com/showkasi.php?surl=k-001264
「結ばれると信じてた」のところがググッと胸に迫ってきます。
「季節の香り」までのフレーズが非常にかぐわしい表現で美しいですね。芳香のように浮かれていた気持ちは、人間や世の中のことを全く知らず「若すぎた」のだということを表していることがわかります。
しかしいいなあ…常にいい香りって見習いたいものです。朝香っていても一日たてば労働の油(脂?)の香りしかしないのですもの…。
もう二度とあの愛は…
セピア色した映画が好き
やさしくて哀しい愛があるから
出典: http://www.utamap.com/showkasi.php?surl=k-001264
白黒映画でもいいのですが、セピアフィルムの映画というのはカラーフィルムよりも幻想的でクールな印象を受けますよね。リアリスティックで生々しい彩色よりも、古き良き時代を思わせるセピア&白黒映画のほうがシックでロマンチックな物語を描いてくれます。
本家のBertie Higginsによる"Casablanca"でも、映像は白黒フィルムで撮られています。グラスがガチャンと倒れるシーンすらドラマチックに映るのはこのフィルム効果なのでしょうかね。
現実にならなかった愛がひとつのフィルム、思い出となっていく様子も感じとることができますね。
もう二度と
あんなに誰かを 愛せない
出典: http://www.utamap.com/showkasi.php?surl=k-001264
最高の愛の告白でございます。「あの人以上に好きになれる人が見つからない」と表現するよりも潔くてさっぱりとした素晴らしいフレーズですね。
わが人生における至上の愛とでも申しましょうか。若い頃はやはり失恋後も盲目的でありまして、失ったものに余計愛着が湧くものであります。しかしそう客観的に考えても、この曲の良さというものは決して見えてきませんのである程度割り切りましょう。時に人間、とことんセンチメンタルになる時間も必要です。
愛の敗北
大人の恋をしたと聞いた
新しい名前に なったと聞いたよ
出典: http://www.utamap.com/showkasi.php?surl=k-001264