静かな短いフレーズで幕を開けるのが9曲目『ルビコン』です。
ストリングスの開放的な音色が、何かの始まりを予感させます。
震える小さな背中
どこかで君が泣いてる
なぜだろう?急にそんな気がした
見上げれば 茜の空が
静かに滲んだ
出典: ルビコン/作詞:aokado 作曲:aokado
決定的な別れによってもう二度と会えない関係になったとしたら、相手に関する情報はそこでストップします。
忘れない限り減らないし、再会しない限り増えません。
まるでアニメのキャラクターのように年令を重ねないまま、彼は記憶の中で生きています。
だからこそ、今ここに彼がいたらどんな気持ちになるだろうかと想像が及ぶのです。
記憶の中から消えない幸せと、消せない苦しみを少しだけ感じてしまいます。
10. 街路、ライトの灯りだけ
ねぇ 笑った振りをしてって
ねぇ 怒った振りをして
ねぇ どうしても裸眼じゃ上手く見えないから
出典: 街路、ライトの灯りだけ/作詞:n-buna 作曲:n-buna
誰かに「感情を見せて」と訴えかけているような歌詞ですが、実は相手は誰でもない「自分」なのです。
本当の思いを表に出すことができず、フィルターをかけて自分自身に対しても気持ちを偽ろうとします。
でもできることなら素直に生きたい。
だから彼女はフィルターを取り去り、「もっと感情を見せて」と自分自身を鼓舞しています。
11. コラージュ
アニメ「衛宮さんちの今日のごはん」のエンディングに抜擢されたのが『コラージュ』です。
ハードな世界線のイメージが色濃いゲーム「Fate/stay night」のスピンオフアニメであり、そのテーマはまさかの「料理」。
物語の中核を成しているのは「料理」であり、主人公である衛宮士郎が自身と関わり合いのある人物たちに手料理を作り食べさせてあげるという展開が続く。
出典: https://ja.wikipedia.org/wiki/衛宮さんちの今日のごはん
なんだかほのぼのとした世界設定ですね。
そして『コラージュ』もまた、家族の食卓を想像させるような温かさを感じる楽曲です。
家族にとってもひとつの時代が終わる
焦げだした夕焼けに
溶け合うような匂いがして
今日はなんだろうねと
足取り軽くなった
出典: コラージュ/作詞:すこっぷ 作曲:すこっぷ
青春はいつか終わりを迎えます。
不安定な青春をともに過ごした家族たちも、青春の終わりを感じるのではないでしょうか。
どんなに心が揺れ動いても、怒りに震えても、涙で目を腫らしても必ず食卓には温かな料理が並びます。
それがどんなに大切なことなのか、気づくのはきっと青春の終りが見えた頃なのです。
気づいた瞬間にまた一歩、青春の出口に近づきます。
12. 東京
沢山の音色と三度のハーモニー、ピアノの和音が重なり合い、少し重さを感じる仕上がり。
それがラストナンバー『東京』です。
東京に出れば夢が叶う、そんな根拠のない自信と少しの荷物を持って上京した女の子が描かれています。