実は切ない「ドリフのズンドコ節」

「海軍小唄」をアレンジ

ドリフターズ【ドリフのズンドコ節】歌詞を解釈!思い出すのはあのことばかり!?憎めない男のズンドコ節の画像

1969年11月1日発表、ザ・ドリフターズの通算3作目のシングルドリフのズンドコ節」。

あの娘たちの可愛い仕草が忘れられないと様々なエピソードを「ズンドコ節」で表現します。

「ズンドコ節」とは作者不詳で戦中の「海軍小唄」のバリエーションです

作者不詳であるということは著作権に抵触しないことでもあるので様々なバージョンが生まれました。

近年では氷川きよしの「きよしのズンドコ節」などが記憶に新しいでしょう。

ハナ肇とクレージーキャッツとバトンタッチするようにヒット曲を世に出し始めたザ・ドリフターズ。

「ドリフのズンドコ節」はコミック・ソングですが、男の追憶がテーマですので固有な切なさがあります。

こうした切なさはなかにし礼の作詞家としての真骨頂でしょう。

人気作家である青島幸男が作詞した様々なヒット曲があるハナ肇とクレージーキャッツ。

そんな先輩たちに気を使いながら世に出したザ・ドリフターズのコミック・ソング。

時代のスターが植木等から加藤茶などへと移行する時代名曲が「ドリフのズンドコ節」です。

この曲の歌詞の解釈と当時のザ・ドリフターズの背景を解説いたします。

それでは実際の歌詞を見ていきましょう。

なかにし礼と「ズンドコ節」

様々なバリエーション

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ズンズンズンズンズンズンドコ
ズンズンズンズンズンズンドコ

出典: ドリフのズンドコ節/作詞:不詳 作曲:不詳 補作詞:なかにし礼

「ズンドコ節」は上述の通りに作者不詳であります。

終戦間近の1945年に海軍で生まれた俗謡であることは確かです。

敗戦後に田端義夫が「ズンドコ節(街の伊達男)」をリリースします。

田端義夫はバタヤンの愛称がありエレキギターを抱えて歌を唄うシンガーで日本歌謡史のレジェンド。

その他、小林旭なども「アキラのズンドコ節」を発表します。

どれも基本的な曲調などのスタイルは同じなのですが歌詞に違いがあるものです。

「ドリフのズンドコ節」は古くから歌われた歌詞になかにし礼が手を加えます。

なかにし礼はシャンソンの訳詞をしていましたが、石原裕次郎に作詞家への転向を薦められました。

日本の歌謡史を陰で支えた大功労者ですが、ザ・ドリフターズのコミック・ソングの作詞も手掛けます。

とはいえ繰り返しの箇所であるこのラインはリズムを口ずさむ以外の意味はないです。

先に大切なことを書いておきます。

1番は加藤茶、2番は仲本工事、3番は高木ブー、4番は荒井注、5番はいかりや長介、6番が全員で歌唱

補作詞のなかにし礼はそれぞれのキャラクターに歌詞を振り分けました

荒井注はこの後に脱退しますので、4番は志村けんが吹き込み直したバージョンもあります。

若い方はザ・ドリフターズのメンバーで鬼籍に入られたふたりのメンバーを知らないかもしれません。

必要な情報はその都度ご紹介いたします。

では1番の歌詞を見ていきましょう。

加藤茶の純情な記憶

高校生の頃の想い出

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学校帰りの森影で
ぼくに駆けよりチューをした
セーラー服のおませな子
甘いキッスが
忘らりょか ソレ

ズンズンズンズンズンズンドコ
ズンズンズンズンズンズンドコ

出典: ドリフのズンドコ節/作詞:不詳 作曲:不詳 補作詞:なかにし礼

加藤茶のパートです。

発表当時、メンバー中最年少でありながら一番人気があったのが加藤茶。

ザ・ドリフターズは元々バンド編成で加藤茶はドラムを担当します。

歌詞を見ていただいて分かると思いますが、元が「海軍小唄」とは思えないほどピュアな内容です。

男女問わず、青春期・思春期の好きな人との想い出は忘れられないもの。

時代はまだ1960年代ですから男子高校生が女子高生からキスの贈り物をいただけたのは珍しいでしょう。

この後も歌詞を読み解くと分かるのですが、主人公の男はかなり女性に恵まれています。

加藤茶はザ・ドリフターズ加入前にジャズ・クラブでドラムを叩いていました。

こんな綺麗な顔の男性は見たことがない

そんな証言もある美男子です。

甘いマスクでありながらザ・ドリフターズで一番笑いをとっていました。

芸能界の生けるレジェンドですから、若かりし頃にはこんなモテ・エピソードもあったのかもしれません。

若い頃の追憶に浮かぶあの娘。

コミカルな歌詞に切なさが存在するのはなかにし礼の手腕が成したことでしょう。

仲本工事は大学の学食で

大学生活の想い出

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毎日通った学食の
赤いホッペの女の子
内緒でくれたラーメンの
ショッパイ味が懐しい

ズンズンズンズンズンズンドコ
ズンズンズンズンズンズンドコ

出典: ドリフのズンドコ節/作詞:不詳 作曲:不詳 補作詞:なかにし礼

仲本工事のパートです。

彼は学習院大学政治経済学部卒業のエリート。

このパートでも大学の学食が舞台になっています。

補作詞のなかにし礼は立教大学出身で、こちらも学食には格段の想い入れがあったでしょう。

大学の学食といえば進学して勉強しながら学食で働いている苦学生の女性もいます。

学校の周辺には様々な定食屋さんなどが軒を連ねていますが、主人公は毎日学食で済ませるのです。

地方から上京した大学生であったのかもしれません。

高校時代に引き続き、大学時代も様々な想い出を創れる季節です。

モラトリアムの時期に色々な経験を積むことはその後の人生を大きく変えます。

学食で働く女の子に贔屓にされたなんてことはささやかな想い出でしょう。

しかしこうした小さな出来事を社会人になってから、微笑ましく思い出すのは至福のひとときです。

東京のラーメンでしょうから醤油ラーメンだったのでしょう。

時代はまだ1960年代ですし、大学の学食ですから凝ったラーメンではないはずです。

仲本工事はザ・ドリフターズのギタリストでありました。

幼少の頃から勉強もできて運動神経も抜群、なおかつ楽器も演奏できたのならモテたでしょう。

高木ブーの憧れの女性