米津玄師「Paper Flower」

【Paper Flower/米津玄師】ディストピアな歌詞の世界に迷い込んで…。壊れゆく美しさが切ないの画像

「Lemon」収録曲

「Paper Flower米津玄師さんの8thシングル「Lemon」に収録されている楽曲です。

ペーパーフラワーといえば、めでたい時や行事毎で使われることが多い気がします。ですがそのようなニュアンスはあまり感じられない楽曲です。

浮遊感が漂っていて、不思議な感覚になりました。楽曲を詳しく見ていきましょう。

「米津玄師 ████████と、Lemon。」

米津玄師さんのYouTube公式アカウントから米津玄師 ████████と、Lemon。」というラジオ番組がアップされています。

「Lemon」のみならず、カップリング曲の解説や、米津玄師さんの生い立ち、ハチとしての活動についても語られています。

どのような過程で制作されたのかを理解することが、音楽を解釈する上で最も大事だと筆者は考えています。

約40分のラジオになっていますが、是非チェックして頂きたいです。

沢山の制約が付いた楽曲

「Paper Flower」ですが、シングルの3曲目ということで構成に縛りをかけて制作されたそうです。

この音を絶対に使う、この音は使わないなど、米津玄師さんの強いこだわりが含まれた楽曲です。

筆者がとても気になったのがビブラートがかかったような音です。

イントロからとても気になっていた音でしたが、アウトロではチューニングが狂ったような不思議な音になっています。

これも米津玄師さんの制約の1つだったのかもしれません。

制約を付けた上でトラック作りを始めたので、浮遊感を感じる曲調に合った歌詞が付けられたようです。

歌詞制作

先にトラックを制作し、その上に歌詞を乗せる形になりました。

音に合った歌詞は、深夜に散歩をしながら絞り出していったそうです。

朝まで飲み歩くことがあれば、静かな夜を1人歩きながら制作を進めることもあるようです。

具体的に散歩していた場所は環七通りだとか。歌詞の1つ1つを切り取っていけばどこを歩いていたのか分かるかもしれませんね。

かなりの長身なので見かけたら分かるかもしれませんが、今回のように製作している途中かもしれないので話しかけるのは止めておきましょう。(笑)

歌詞解説

普遍的な歌詞

もう一方のカップリング曲である「クランベリーとパンケーキ」とは違い、「Paper Flower」は米津玄師さんが普段から作っているような普遍的な歌詞です。

一部聴きとりにくい歌詞もあるので、歌詞を見ながらでないと歌詞を読み取るのは難しいかもしれませんね。 

言葉が出ない 何をしていても 最後に残るのは グズついた 愛
祈るように眠る あなたを見ていた
車は向かう トンネルを通り ストローみたいに あなたの胃の 中へ
祈るように眠る あなたを見ていた

出典: Paper Flower/作詞:米津玄師 作曲:米津玄師

一般的な人間、真っ当な人間が眠る中、深夜に誰もいない街を眺めながら散歩する米津玄師さん。

深夜の空気感がとても伝わってきます。

車がトンネルに吸い込まれていくという表現はとても面白いですね。深夜だからこそ、ライトが光って余計に強調されて見えるのでしょう。

”祈るように眠る”という歌詞も印象的でした。本来祈るのは起きている間だと思うし、寝ながら祈っている人なんていないでしょう。

祈るといえば合格祈願や、危篤状態、勝負事などが挙げられます。これらの全てに共通しているのが”不安要素”だと思います。

普段と変わらないようい寝ているのに、それが祈るように感じられたということは、2人の間に不安要素が混ざっていたのかもしれません。

広告に悪意のグラフィティ ボコボコの自動販売機
知った風にはにかんでみたり 知らないふりでニヤついてみたり
陸橋の手すりに登り お月様眺めてふらり
ほころんだ空洞の中で ここだけが世界の終わり

出典: Paper Flower/作詞:米津玄師 作曲:米津玄師