ヤジロベエみたいな正しさだ
今この景色の全てが
笑ってくれるわけじゃないけど
それでもいい これは僕の旅
出典: なないろ/作詞:藤原基央 作曲:藤原基央
「ヤジロベエ」は日本の伝統的な玩具です。
不安定ながらなんとかバランスを取れていることを表していると考えられます。
「正しさ」というのは明確ではなく不安定な「ヤジロベエ」のよう。
そしてたどり着いた「今」も確かに全てが上手くいっているわけではない。
だけど一歩一歩必死に進んできた結果だから、「僕の旅」はそれでいい。
正しいか間違っているかよりも信じて歩いてきたことが大事だと歌われます。
結果よりも積み重ねてきた過程が重要なんだ、と。
「景色の全て」が「笑ってくれるわけじゃない」は非常に藤原基央らしい表現ですよね。
毎日は連続している
水たまりに見出す時間の連続性
昨夜の雨の事なんか
覚えていないようなお日様を
昨夜出来た水たまりが
映して キラキラ キラキラ
息をしている
出典: なないろ/作詞:藤原基央 作曲:藤原基央
昨夜は雨だったかと思えば今日は快晴。
昨日なんてなかったかのように天気は毎日毎日移り変わっていくものです。
そうやって分断されて切り替わっていくかのように見える毎日。
だけど昨夜の雨でできた水たまりに今日、太陽が降り注ぎキラキラ光っている。
その光に「毎日が連続している」ことを見出します。
昨日から今日、今日から明日へ
高く遠く広すぎる空の下 おはよう
僕は昨日からやってきたよ
失くせない記憶は傘のように 鞄の中で出番を待つ
出典: なないろ/作詞:藤原基央 作曲:藤原基央
昨日の雨は水たまりとなって晴れた今日、キラキラと息をしている。
同じように過去や思い出も消えずに今も息をしています。
間違ったことも辛い過去もあるかもしれません。忘れたい記憶もあるでしょう。
でも毎日は連続しています。毎日毎日一歩一歩進んできたから今があるのです。
昨日から今日へ「僕」はやってきて、今日から明日へ「僕」は進んでいく。
過去は過去に置いていけるものではなく、鞄の中で今も息をしているのです。
鞄の中の思い出
過去は変わらない
胸の奥 君がいる場所
ここでしか会えない瞳
ずっと変わらないままだから ほっとしたり
たまに目を逸らしたり
出典: なないろ/作詞:藤原基央 作曲:藤原基央
2番で思い出の中の人物として「君」が登場します。
「僕」は「君」を失った後、闇雲に毎日を生きている、ということがここで分かります。
鞄の中、胸の奥に今もある思い出。
思い出は過去にあった事実としてずっと変わりません。
今どこにいるかわからない「君」、この先どこへ向かうのかわからない「君」。
でも過去の「君」はずっと変わらず胸の奥にいます。
形にない未来に対して過去にはしっかりとした形があります。
だから安心できたり、時にはその揺るがない事実に目を背けたくもなりますよね。
思い出すと寂しいけど
思い出せないと寂しい事
忘れない事しか出来ない
夜を越えて 続く僕の旅
出典: なないろ/作詞:藤原基央 作曲:藤原基央
「君」がいない今、「君」を思い出すことはとても寂しいことです。
だけど忘れてしまうことも寂しい事だと歌われます。
過去が連なって今があり、その足跡が旅の道、人生です。
つまりどこまで進んでいっても「君」とは人生で繋がっているのです。
しかし忘れてしまうことはその繋がりを断ってしまうことになってしまいます。
過去は変わらず、忘れないことしかできないけど、鞄に詰めて「旅」を続けるしかないのです。