無理に作る笑顔というのは、とても疲れるものです。

楽しくて笑い転げるのはいくらでもできるのに、作り笑いとなると顔が引きつるような感覚さえするでしょう。

主人公はそんな愛想笑いの自分に疲れ切っていたのですね。

頑張りすぎてしまう性格なのかもしれません。

そんな中で冒頭でもでてきた「出来事」が自分に衝撃を与えたのです。

また、これは筆者の独自解釈ですが、DAOKOさん自身のことを表現しているとも考えられます。

とても感受性の強いDAOKOさん。

普通にしようと努力するのも苦痛に感じてしまう日々。

そんな中で出会った「音楽」の世界。

自身の感受性を思う存分発揮できる世界との出会いは、彼女に衝撃を与えたのではないでしょうか。

どんな自分も受け止める

何を「頑張ってみる」のか?

DAOKO「終わらない世界で」の歌詞を徹底解説!なかなか頑張れないあなたにも優しく寄り添ってくれる…の画像

頑張ってみるから
終わったら抱きしめて
全て懐かしくなる陽だまりへ
向かっていく

出典: 終わらない世界で/作詞:DAOKO 作曲:小林武史

主人公は何かと出会い、衝撃を受け、それを頑張ってみると言っています。

DAOKOさんに当てはめて考えてみましょう。

音楽に出会い、アーティスト活動を精一杯頑張っていく…。

そんな意味合いなのかもしれません。

筆者自身、初期のDAOKOさんのライブパフォーマンスに足を運んだことがあります。

その際、とても丁寧に「精進していく」という旨を語り、向上心の強いアーティストだと感心しました。

精一杯音楽を頑張り、リスナーに良い音楽やパフォーマンスを届けたい。

そんな彼女の努力が垣間見えるフレーズだと思います。

そして、頑張った後は誰かに「よく頑張ったね」と受け止めてもらいたい。

健気な心情を素直に表現しているのが素敵です。

忘れたくないからこそ

DAOKO「終わらない世界で」の歌詞を徹底解説!なかなか頑張れないあなたにも優しく寄り添ってくれる…の画像

みんなおなじだ
さみしいのがすきだから
敏感でいたいだけ
忘れないように きっと
いつまでも青く萌ゆる

出典: 終わらない世界で/作詞:DAOKO 作曲:小林武史

「寂しい」という経験は、一般的にネガティブな意味合いでしょう。

それを「皆好き」と言っていますね。

こういったネガティブな経験を何度も思い出している人は、感受性が強いのかもしれません。

少なくとも「敏感」であることは確か。

「なんで自分はこんなに敏感なんだろう」と思い悩むこともあるのではないでしょうか。

そんな感受性の強い人を肯定するようなフレーズになっている気がします。

どんな経験もかけがえのないもの。

だからこそ忘れないでいたい。

そんな理由から自分は感受性の強い「敏感」な人間でいるだけ。

最後の「萌ゆる」という言葉は「冬を越え、春に草木の芽が出る」という意味。

「青い」とは若葉の美しい緑と表現しているのです。

これは、心の美しさを比喩しているのかもしれません。

彷徨い続ける

旅は終わらない

DAOKO「終わらない世界で」の歌詞を徹底解説!なかなか頑張れないあなたにも優しく寄り添ってくれる…の画像

日が出る国のカラーで
今日も東京タワーは灯り続けている
意味を探すビョーキを患っては
肩の荷の降ろし方を忘れる
何でもかんでも言葉にしないと
不安になっちゃう毎夜
最後は朝陽が溶かすよ
街も時計も普段通り 残酷
ゆるせることが増えたなあ
生きるために透き通らせたから
あたらしい気持ち探す旅人
ずっと 終わらない世界で

出典: 終わらない世界で/作詞:DAOKO 作曲:小林武史

日本の国旗のカラーである「赤」。

それと日本の名所である東京タワーの灯りの「赤」をリンクさせています。

そして、堂々巡りしている心情をDAOKOさんらしい文学的な表現で歌っていますね。

主人公は何かの「意味」を探して彷徨っているようです。

「生きる意味」でしょうか?

何度もループするように繰り返される規則正しい世界。

その中で終わりのない旅を続ける主人公。

とても抽象的な表現ですが、何だか共感できる気がします。

ふと「自分は何のために生きているのだろう」を感じることはありませんか?

それが分かったらもう少し気持ちが楽になれるのかもしれないのに…。

主人公はそんな思考を巡らせているのでしょう。

心の声が聞こえる

ああ飛びたい 飛べない
私は飛べるの どうなの
ああ叫んで 叫んで
私はここだよ ここだよ ここだよ

頑張ってみるから
終わったら抱きしめて
全て懐かしくなる陽だまりへ
向かっていく

みんなおなじだ
さみしいのがすきだから
敏感でいたいだけ
忘れないように きっと
いつまでも青く萌ゆる

出典: 終わらない世界で/作詞:DAOKO 作曲:小林武史

楽曲の中でも特に特徴的なフレーズですね。

DAOKOさんの美しいウィスパーボイスについウットリしてしまいます。

ここまでの文学的な表現とはうって変わり、心の声をそのまま歌っているよう。

自由に羽ばたきたい。

気持ちを大声にして叫びたい。

誰か私の存在に…抑え込んだ心の声に気が付いてほしい。

手を差し伸べてほしい。

そんな心の声なのかもしれません。

サビでの「抱きしめて」では、誰か支えてくれる人を求めているのかもしれませんね。

そうすれば、思い切り頑張ることだってできる。

そんな胸の内を感じ取れた気がします。

最後に