Mr.Children「イミテーションの木」で問われる存在意義
Mr.Children「イミテーションの木」は自信を失いかけたときに、勇気づけてくれる名曲です。
情報の流れが速い時代は、時として取り残された気分になり妙な孤独感に見舞われることがあります。
若い頃描いていた理想の夢はいつの間にか忘れ去られ、夢見た時期がとても遠くに感じてしまうのです。
このような感覚は珍しいことではなく、たくさんの人が抱く悩みといえます。
人は決して強いものではなく、何かしらの存在意義を感じなければ生きていけません。
しかし存在意義がない人などおらず、あなたがいることで必ず誰かを癒やしています。
本稿では、そんなMr.Children「イミテーションの木」の歌詞の解説です。
様々な解釈に取れる本作を、徹底的に紐解きます。
Mr.Children「イミテーションの木」のファンの反応
Mr.Childrenの「イミテーションの木」は、ファンの間で評価が分かれているようです。
「これまでの曲と比較して、人が自信を失ってから希望を抱く感が少ない…」
このような印象を抱くファンもおり、どちらかというと物足りなさを感じています。
確かにこれまでの曲のように、強い希望を抱くところまで歌詞は描かれていません。
しかし現在の時代にマッチした、静かですが力強いエールを歌詞から感じるのです。
桜井和寿のリスナーに向けたメッセージは非常に多彩で、曲ごとに手法が異なります。
メッセージを伝える対象となるリスナーにより、表現が変化するのです。
彼が抱いた対象となるリスナーを想像してみると、決して物足りなさなどなく力強さを感じます。
Mr.Children「イミテーションの木」のメロディーは?
Mr.Children「イミテーションの木」のメロディーは、非常に聴きやすい自然と耳に残る曲です。
これまでとても長い年月、幅広い世代に受け入れられてきたMr.Children。
その実績が確かなものと実感できる1曲といえるでしょう。
それにしても桜井和寿は、本当に不思議な力を持っていると感じてしまいます。
たとえどんな名曲であったとしても、桜井和寿が歌うと99%彼の曲になってしまうのです。
名だたる名曲でさえも1%のイメージしか残らずに、まるで新しい印象をリスナーに与えます。
彼の歌声は日本の音楽業界の宝といっても過言ではありません。
鳥肌が立つほどに、彼の歌声に耳が吸い込まれてしまうのです。
Mr.Children「イミテーションの木」の歌詞を解釈!
Mr.Childrenの「イミテーションの木」は、強い表現で前向きになれる表現が書かれてはいません。
しかし、自らの存在意義を見いだすことで、必ず力強い1歩を踏み出せると読み取れます。
では早速、本作の歌詞を紐解いてみましょう。
よぎる思い出
導火線の火が
シュって音を立てて砂浜を這う
その細く強い光
一瞬、静寂がふっと夜を包んで
浮かび上がる あの娘の横顔
出典: イミテーションの木/作詞:Kazutoshi Sakurai 作曲:Kazutoshi Sakurai
強い印象が頭に残っていると、五感で察知したことで一瞬で時を戻します。
音や光、匂い。
これらが昔に恋していた相手の顔と、思い出を呼び起こしました。
多分主人公は昔、浜辺で恋する相手と花火を楽しんだのでしょう。
花火というのは、思い出に強い影響を与える道具です。
煙と共に一瞬訪れる静寂が、一層昔の光景を呼び起こします。
抱いていた夢
風に乗って響いてく音 火薬の匂い
打ち上げられた花火に夢を重ね見上げていた
出典: イミテーションの木/作詞:Kazutoshi Sakurai 作曲:Kazutoshi Sakurai
空中で広がる花火を見ると、まるで自分の夢が叶ったような感じがします。
花火が天に昇り花を咲かせるまでの高音と、大きな音をはなち一瞬で消えゆく光。
自らの夢が叶う姿と重ねてしまう気持ち、とても良くわかります。
夢も花火と同じように、大きく花開くことを望んでいたのでしょう。
このパートの時間軸は、恋する相手と一緒に花火をした時にあります。