深く沈めた記憶
向こう岸に捨てた憧れ
青臭い恋のうた
出典: イミテーションの木/作詞:Kazutoshi Sakurai 作曲:Kazutoshi Sakurai
浜辺での花火を見るまで、ずっと心の奥底にしまっていた昔の記憶。
当時はこんな夢を抱いていたと、花火を見て思い出しました。
若かりし頃に恋人へ熱く語った夢は、もう既に諦めています。
花火の硝煙と静けさの中で、当時の光景はまぶしすぎて思い出すのも辛いほどです。
ただ、ただ、純粋に明日を夢見る当時の姿。
いつの間に、こんなにも変わってしまったのか疑問に感じるほどです。
現在と過去
時間は残酷
もう魔法は解けてしまった
過去ばかりが綺麗に見える
現在(いま)がまた散らかっていく
出典: イミテーションの木/作詞:Kazutoshi Sakurai 作曲:Kazutoshi Sakurai
花火で呼び起こされた思い出は、とてもまばゆい光を放つ素敵なものでした。
その余韻に浸れるのはほんのわずかな時間で、すぐにリアルな現実に打ち消されます。
あんなに輝いていた当時の姿は、現在の姿と比べものにならないくらい生き生きとしていました。
現在の姿は当時の面影は全くなく、大切なはずの思いでも苦痛に感じてしまうのです。
眺める先
リニューアルしたビルの中
イミテーションの木が茂る
その永遠の緑をボーっと見ていた
出典: イミテーションの木/作詞:Kazutoshi Sakurai 作曲:Kazutoshi Sakurai
ここ最近では心躍る出来事もなく、惰性で生きている感覚があります。
全てのものに感動したり、はしゃいだり、悔しがったりすることがありません。
まるで抜け殻のような現在の姿は、ディスプレイされている作り物の木のようです。
四季を経ても全く変わることなく、作られた新緑の葉っぱであり続けます。
その変わらず作られた作り物の木は、まさしく現在の自分の姿と重なるのです。
わかっているけど
世界中に起こってる悲劇と比べたら
僕の抱えたモヤモヤなど
戯言だってよく知っている
出典: イミテーションの木/作詞:Kazutoshi Sakurai 作曲:Kazutoshi Sakurai
自分が活路を見いだせないのは、世界の悲しい出来事からすればちっぽけなものです。
どうすれば新しい道を見いだせるのかも、全て自分次第だと理解しています。
だけどどうしてもついて行けない。
わかっているのに気持ちに劣等感があり、行動にうつすことができません。
たとえ偽物でも
イミテーションの木の下を
少年が飛び跳ねている
それを見た誰かの顔がほころぶ
情熱も夢も持たない張りぼての命だとしても
こんなふうに誰かをそっと癒せるなら
出典: イミテーションの木/作詞:Kazutoshi Sakurai 作曲:Kazutoshi Sakurai
先ほど見かけた作り物の木ではしゃぐ子供の光景を、親がにこやかに見守っています。
作り物の木でさえも人の笑顔に、幸せに役立てていると気づきました。
中身がなにもない現在の姿でも、求められる居場所があるのかもしれない。
そんな気持ちを感じて、そんな状況に期待するのでした。
Mr.Children「イミテーションの木」の世界観
たとえ以前と違う姿であっても、必ず求められる居場所がある。
だから今の姿も悪くない、こんなメッセージを伝えています。
今を大切に。
桜井和寿からのプレゼントです。