君と出会ったあの日のこと
出会えたことを誇りに思っている
最後に ひとつ 聞きそびれた事
ふと呟いてる「あの日なぜ逢えたの?」
出典: 朝顔/作詞:折坂悠太 作曲:折坂悠太
僕は君と出会えたことを幸せに思っています。
「こんなことになるなら出会わなければ良かった」「仲良くならなければ良かった」
人間関係に悩むとき、ついそう考えてしまいがちです。
しかし僕は違います。
淋しさや助けてあげられなかった後悔は抱えていても、君と出会えたことには何の後悔もしていないのです。
出会ったその瞬間から、離れ離れになるという運命が決まっていたとしても。
70億人以上が住むこの世界で巡り会えたことを幸せに感じているのです。
1番で「もう会えなくなってしまった君」が描かれていたことで、より儚さが浮き彫りになります。
運命に引き寄せられた
お祭囃子の 人波の向こうで
手招く誰かを 覚えている
出典: 朝顔/作詞:折坂悠太 作曲:折坂悠太
たくさんの人で溢れ、隣に誰がいるかも分からないような状況。
そんな中で2人は出会いました。
まるで引き寄せられたかのように。
あれから数え切れないほどの思い出を積み重ねてきたことでしょう。
それでも出会ったあの瞬間の喜びは色褪せることなく、記憶の中にはハッキリと刻まれています。
なぜあの頃は毎日が愛おしかったのか
2人の思い出を残すために
ここに 願う 願う 願う
君が朝をおそれぬように
出典: 朝顔/作詞:折坂悠太 作曲:折坂悠太
2人が明日を待ちわびていた理由。
それは少しでも多くの思い出を2人で残すためだったのではないでしょうか。
しかし今の僕にとって、待ち望んでいたはずの朝は、恐怖へと変わってしまいました。
「君がいない今日をどう生きていけばいいのか」
そんな生きることへの恐怖が伝わってきます。
“今”を精一杯に生きるということ
ここに 願う 願う 願う
その窓を選び降り注ぐ
出典: 朝顔/作詞:折坂悠太 作曲:折坂悠太
あの頃毎日が充実していたのは、君という存在のおかげだけではありません。
僕自身が“今”を精一杯に楽しもうと生きていたからです。
そうでなければ、どんなに愛する人がいても毎日を楽しむことはできません。
ただの“何でもない日常”が続いていくだけです。
まさに今の僕のように。
精一杯に楽しもう、少しでも多くの思い出を残そう。
そうやって2人が自ら幸せを掴みにいったからこそ、“何でもない日常”が“幸せな日常”へと変わったのです。
僕はそのことに気づけたのでしょう。
最後の行では、心に光が射し込んでいく様子が描かれています。
再び“今”を精一杯に生きようと、少しずつ歩み始めました。
この街の新たな希望
ねえ この辺りも変わったよ
また何処かであがる産声を 待ちわびて
出典: 朝顔/作詞:折坂悠太 作曲:折坂悠太
君がいなくなってから、どれだけの時間が過ぎたのでしょうか。
移り行く人や街並みを穏やかに見つめる表情が浮かんできます。
そして2行目。
あの日この世からいなくなってしまったのは君だけではないということを表しているのではないでしょうか。
主人公の母は東日本大震災で行方不明となってしまいました。
そのドラマの主題歌として書き下ろされたことを考えると、何か大きな災害が起きたのかもしれません。
君だけでなく、たくさんの人が犠牲となり、街はまっさらになってしまったのです。
だからこそ生まれてくる新しい命に、誰もが喜びを感じ、幸せを共有しているのでしょう。
新しい命が、この街にとってのこれからの希望なのです。