2人のパートを追っていくと、このような歌詞がありますね。
【売春】というと、お金で成立する関係と考えられます。
しかしこの2人はどうもそれだけではないようです。
歌詞を見て察するに、2人は感情の面でもつながっている様子。
つまり、恋愛関係にあるといってもいいでしょう。
最初は本当に割り切った関係だったかもしれません。
しかし今やそれだけでは済まされないほど、惹かれ合っているようです。
お金など関係ない領域で2人は愛を育んでいるといっても過言ではないでしょう。
上下関係のないフェアな恋愛
あなたが被害者 きみは支配者に
せめて後ろめたさだけは残さないでおこう
出典: 売春/作詞:薔薇園アヴ 作曲:薔薇園アヴ
2人の関係性をもう少し紐解いていきましょう。
歌詞にはこんなフレーズがあります。
通常、【売春】というとどうしても女性が弱者のようなケースが多数。
女性が弱者、または被害者として捉えられがちです。
しかし歌詞中ではその関係性が全く逆。
女性が男性に対して「弱者だ」という旨の発言があります。
逆に男性からは女性に対して「君が僕を従える」という旨の発言も。
つまりこの2人において、パワーバランスが通常と逆なのです。
これは一般的な恋愛における関係性へのアンチテーゼとも取れます。
この歌詞が意味するところは、2人の対等な関係と考えられるでしょう。
女性も男性もまた、相手への想いをフェアに持っているのです。
もはやビジネスやお金の関係を通り越し、2人は好意を寄せ合っているのでしょう。
普通になれない
周囲の目
留守電に残る声に愛着なんて覚えないで
心配性なその指輪に 傷一つつけず抱かれるから
安心感振りかざして 受容だなんて言えないこと
生きてきたから判るよ 傷まみれ、でもまだ付けよう
出典: 売春/作詞:薔薇園アヴ 作曲:薔薇園アヴ
2人はその関係に全く後悔をしていないようです。
しかし元はといえば【売春】から始まった関係。
世間一般的には後ろ指をさされる関係性でしょう。
それはたとえ2人が今どんなに純粋な気持ちで付き合っていたとしても。
世間の目は冷たいものです。
しかも歌詞を見るに、男性の方はおそらく既婚者。
指輪の描写からそれが読み取れます。
妻の存在がありながら、年下の女性に惹かれてしまっているのです。
「浮気」や「不倫」。
世間ではそう呼ばれる事態といえます。
苦しい関係
あなたは知る筈 きみは願う筈
普通をよしとする心に 制裁を食らわせては片付ける
誰にも言えずに 保つ日が暮れる
せめて傍観者にだけは なりたくない なれないね
出典: 売春/作詞:薔薇園アヴ 作曲:薔薇園アヴ
2人はお互いを好きでたまらない程、強い感情を持っています。
しかし同時にこの関係が理想的ではないことも知っているのです。
本来であれば結ばれるべき人と結ばれ、落ち着くべき。
きっとそう思う気持ちもあるでしょう。
しかし今目の前にいる人を離せない。
そんな状況で、2人は「普通」から目を背け続けているのです。
誰にも2人の関係を言えず、バレてしまう恐怖に苛まれながら毎日を過ごす。
楽しいはずの恋愛に、どうしても影が差してしまいます。
非常に苦しい状況でしょう。
傷つくのは…?
お互い
一刻も早くここから抜け出そう ちゃんとした二人を待つのには
あまりにも時間がないことくらい 嫌と言う程わかってるだろう?
ええ重々承知なのよ だけどあなたに誂えたピンヒールに
脚がとられてもう動けないの いっそ置き去ってよ
出典: 売春/作詞:薔薇園アヴ 作曲:薔薇園アヴ
さて本題に入ります。
同曲において、傷つく存在とはだれなのでしょうか。
結論からいうと、それは2人自身です。
今の関係を続けていることで、2人は幸せかもしれません。
しかしずっとこの関係の後ろめたさが付いてくるのです。
それは今後ずっとぬぐえない気持ちでしょう。
自分たちの罪悪感を無理矢理隠しても、世間はそれを許してくれません。
このように、2人の関係は将来的にお互いの存在を傷つけてしまうのです。
おそらく2人もそれを分かっているのが歌詞から読み取れます。
しかし分かっていながら、今の現状を脱することもできずにいるようです。
非常にもどかしい状態ですね。