夢と希望を込めた人生応援歌

時代背景は高度成長期の日本

「いつでも夢を」は、日本が大躍進していた1962年発売の楽曲です。

時代は高度経済成長期。2年後には東京オリンピックの開催と合わせて国民は高揚していました。

ただ、気持ちのうえではまだ「戦後」という言葉が胸から離れなかった時代です。

どれだけ働いても、どれだけ生活レベルが上がってもあの「惨劇」が脳裏から離れなかったのが、この時代。

しかし、そんな気持ちを一気に晴れやかにしてくれる曲が登場したのです。

明るく前を向いて生きていくことの素晴らしさを、この曲は教えてくれました。

多くの人たちが、夢と希望をこの曲によって与えられたのです。

当時、大人気だった彼女が歌った大ヒット曲!

この曲を歌ったのは、当時の日本を代表する大スター、橋幸夫と吉永小百合です。

 橋幸夫は、言わずと知れた元祖、御三家として日本の歌謡界の重鎮です。

そして、もうひとかた。この曲のリードボーカルともいえる吉永小百合をご紹介しておきます。

吉永 小百合(よしなが さゆり、1945年(昭和20年)3月13日 )は、日本の女性俳優、歌手である。そのファンは、「サユリスト」と呼称される。1960年代を代表する人気映画女優で10年間で70本以上の映画に出演した。吉田正(作曲家)の門下生として、数多くのレコードを世に送り出している。

出典: https://ja.wikipedia.org/wiki/吉永小百合

この曲を、あの吉永小百合が歌ったことにより曲の知名度は一気に上がりました。

作曲家、吉田正の腕と吉永小百合の歌唱がマッチしたことによりこの曲は大ヒットするにいたりました。

世は、高度経済成長期の真っ只中。誰もが期待と希望に胸を膨らませていた時期です。

この楽曲の明るくノリのいいメロディと相まって、誰をも納得させた歌詞がヒットの秘訣でしょう。

それでは、歌詞の説明に入っていきましょう。

誰もが納得する希望と夢の歌

歌詞に出てくる「あの娘」とは誰?

星よりひそかに雨よりやさしく
あの娘はいつも歌ってる

出典: いつでも夢を/作詞:佐伯孝夫 作曲:吉田正

この曲は、聴く人の誰もが明るい気分になれる名曲です。

ところが、歌詞をよく聞いてみると不思議な箇所が出てくるのです。

それは歌詞の2行目からです。謎に思える言葉が早速、出てきます。

その言葉は「あの娘」。あの娘とは、いったい誰のことを言っているのでしょうか?

この部分の謎が解明しないと、この曲を完全に理解して聴くことが難しくなるでしょう。

「あの娘」に関する歌詞は次の行にも出てきます。

声が聞こえる淋しい胸に
涙に濡れたこの胸に

出典: いつでも夢を/作詞:佐伯孝夫 作曲:吉田正

歌詞はこのあとも、主人公の胸の内を表現しています。

主人公は、恐らく世の中の全ての若者を指しているのでしょう。

一生懸命生きているのに、どうして私はこんなに淋しくなるのだ?

泣きたくなんかないのに、どうして涙が自然に出てくるのだろう?

ああ、生きてゆくことはこんなに辛いことの繰り返しなのか。

この歌詞の主人公である若者たちは、青春の苦い思いに胸をしめつけられる毎日なのです。

そんな時に、いつもどこからか聞こえてくる歌がある。

その歌声は、なんとも言えない優しいささやきで私の淋しい思いを救ってくれるのです。

まるで天使妖精の歌声のように。

あの娘の正体は「天使」か「妖精」?

そんな思いを胸に抱くのも無理はないでしょう。

歌声はどこからともなく聞こえてくるからです。

それも、決まって自分が悲しかったり淋しかったりした時に限って。

こんなことができるのは、人間のできる技ではないでしょう。

きっと、見えない天使か妖精が、「元気を出して」と励ましてくれているんだ。

主人公の若者は、ごく自然にそういう考えに至ったのです。

そう、歌詞の謎の「あの娘」は主人公にとったらかけがえのない存在になるのです。

勇気がみなぎる

あの娘の歌声は希望の灯り