1番の歌詞を続けます。歌声の主は、主人公の若者にささやきかけるように歌います。
現実を嫌という程、味わってズタズタにされた主人公の若者をいたわるように。
言っているいるお持ちなさいな
いつでも夢をいつでも夢を
星よりひそかに雨よりやさしく
あの娘はいつも歌ってる
出典: いつでも夢を/作詞:佐伯孝夫 作曲:吉田正
歌声の主は、主人公の若者を励まします。
歌いかけることによって励ますのです。
でも姿、形は全く見えません。
いつも、自分が辛くなった時だけ、心の中に現れてくれるからです。
その歌声を聞くと、主人公は何百人の味方を得たように心地よいものです。
失いかけた自身が、満ち溢れてくるような思いになれる。
歌声からは、そんな不思議な力を得られる感じがする主人公の若者でした。
いつも見守ってくれる存在
主人公の若者にとって、この歌声は自分を救ってくれる天の声なのでしょう。
それは希望を持つことの素晴らしさを教えてくれるからです。
青春時代は辛いことの連続です。
信じていたものからの裏切りや誹謗や中傷が容赦なく襲ってくる毎日。
でも、身も心もズタズタにされる苦しみを、この歌声が救ってくれたのです。
自分の事を、見えないどこかからそっと見守ってくれている。
そう思うだけで、勇気と力が湧いてくる主人公の若者なのです。
そして歌詞はこのあと、2番に続いていきます。
主人公と歌声の主の関係をさらに深く掘り起こしてくれるように続くのです。
歌声の主は今日も見守っている
失恋した悲しさも吹き飛ばしてくれる
歩いて歩いて悲しい夜更けも
あの娘の声は流れくる
すすり泣いてるこの顔あげて
きいてる歌の懐かしさ
出典: いつでも夢を/作詞:佐伯孝夫 作曲:吉田正
ある日、主人公の男性は好きだった女性に大失恋してしまいました。
だから、あてどもなく夜の街を彷徨いました。
どれだけの距離を歩いたのかも、主人公の若者には分かりません。
歩きながら思うのは、やるせないくらいの深い悲しみ。
こんなに悲しくやるせない気持ちになるのなら、もう人を好きになったりなんかしない!
自問自答を繰り返すうちに、あたりはゆっくりと明るくなってきました。
するとどこからか、聞き覚えのある歌声が聞こえてくるのです。
それもひどく懐かしい気分にさせてくれるような。
「あの娘」は母親そのもの?
言っているいるお持ちなさいな
いつでも夢をいつでも夢を
歩いて歩いて悲しい夜更けも
あの娘の声は流れくる
出典: いつでも夢を/作詞:佐伯孝夫 作曲:吉田正
主人公の若者に優しく語りかける歌声。
それはまるで、自分に優しかった母親のようでもあったのです。
歌声の主は、悲しみに包まれる主人公に希望を持てと歌います。
それも、母親が我が子を包み込むような優しさで歌うのです。
幼かった時に聴いた、子守唄のように。
この歌声のおかげで、主人公の若者は何回も救われました。
生きてゆく勇気と希望を、力強く与えてくれた歌声だったのです。
希望に胸を膨らませて
言っているいるお持ちなさいな
いつでも夢をいつでも夢を
はなかい涙をうれしい涙に
あの娘はかえる歌声で
出典: いつでも夢を/作詞:佐伯孝夫 作曲:吉田正
最後の歌詞に入ります。
歌声の主は、もう一度語りかけてくれています。
「どんなに辛くて悲しい時でも、笑顔を忘れないで。
そうすれば、きっといいことがたくさんくるでしょう」。
主人公の若者は、見えない声の主の歌声に耳を傾けて大きく頷くのでした。
なんだか、生きてゆく自信を取り戻したような気がする。
そう感じる、主人公の若者でした。
そのせいか、これでしばらく歌声の主は、現れないでしょう。
きっと、安心して自分の世界へ戻ったのかもしれません。
でも、また主人公が辛く淋しい気持ちになったらきっと現れてくれるでしょう。
だって、歌の妖精や天使は誰の心の中にもいるんですから。
信じる心を持っている限り、歌声はいつでも主人公の心の中で聞こえてくるでしょう。