D G A
僕は透明人間さ きっと透けてしまう
D G A
同じひとには判る
D G A
噂が走る通りは 息を吸い込め
D G A
止めた儘で渡ってゆける
出典: 透明人間/作詞:椎名林檎 作曲:亀田誠治
歌詞の冒頭は「僕は透明人間さ」という、いきなり意味深な始まりです。
あなたはこの「透明人間」をどう解釈しますか?
せっかくなので、今回は「亀田誠治が息子さんからインスピレーションをもらった」というエピソード。
これを踏まえて考えを進めてみましょうか。
となると、透明人間は子どもを指しているんでしょうか。
「同じひとには判る」というフレーズから、子ども同士ならわかる。
つまり大人にはわからない部分を指して「透明人間」と言っているようです。
もう少し読み進めてみましょう。
G E7 A F#7
秘密も愉しいけれど 直ぐ野晒しになるよ
Bm7 A6 G F# G F# G F# G F# G A
それを笑わな い で
G E7 A F#7
好きなひとやものなら 有り過ぎる程有るんだ
Bm A6 G F# G F# G
鮮やかな色々
出典: 透明人間/作詞:椎名林檎 作曲:亀田誠治
二人だけ、友達の間だけの「秘密だよ!」って、愉快で、ワクワクしますよね。
でも、子どもだからすぐにばれてしまう。
「分かりやすい嘘をつくんじゃないの」なんて笑い飛ばされると、隠し事にワクワクしていた気持ちも飛ばされてしまうのかも。
大人にとっては些細でくだらない秘密や隠し事も、子どもたちにとってはきっと大真面目なもの。
そこを分かってほしいのが子ども心、というものでしょうかね。
好きなひと、好きなものがたくさん、気になることがたくさんあってワクワクした、鮮やかな子どもの世界。
時間を忘れて楽しめることがそこらじゅうにあるあの感覚は、確かに、子どもの頃だけのものです。
大人も子どもも確かに同じ目で、同じ世界を見ているはずなのに。
あの頃のようにきらきらとした世界は、いつの間にか見えなくなってしまった。
そんなふうに感じた事のある方も、きっと中にはいるのではないでしょうか。
でも、大人の中にも時折いわゆる「子ども心を忘れていない」無邪気な大人もいたりしますね。
彼らはみな一概に、子どもに負けず劣らずのきらきらとした瞳をしている人たちばかり。
そんな人たちを羨ましく感じたり、憧れとして追い掛けたり。
そんな大人の皆さんも、もしかしたら中にはいるのではないでしょうか?
単純だけど侮れない子どもの純粋な感性
D G D Bm B♭m Am D
あなたが笑ったり飛んだり大きく驚いた と き
G Dmaj7 E7 A Bm7 A
透き通る気持ちで ちゃんと応えたい の さ
D G D Bm B♭m Am D
毎日染まる空の短い 季 節
G Dmaj7 E7 A Bm7 A D G
真っ直ぐに仰いだら 夕闇も恐 ろ しくないよ
D G A
出典: 透明人間/作詞:椎名林檎 作曲:亀田誠治
あなた、とは、子どもにとって大切な大人、でしょうか。両親、親族、あるいは大好きな学校の先生?
子どもって、大人に褒めてほしかったり、かと思えばイタズラをしかけて驚かそうとしたりします。
大人になるほど、子どものようにコロコロと感情や表情が切り替わることがなくなるものかもしれません。
そんな大人が笑ったり驚いたり、色々と反応するのが、子どもには楽しいんでしょうか。
一緒に気持ちを動かして、それに「ちゃんと応え」るのが楽しかったりするのかもしれません。
楽しいから笑うのではなく、笑うから楽しくなる。
子どもの正直な感性は、自分の目で見た情報がダイレクトに影響を及ぼしたりもするものです。
そのような子どもの単純ながらも繊細な感性は、このようなところにも表れます。
歌詞の中に登場する夕闇。子どもの頃は漠然と夜が、闇が怖かったりするもの。
目の前が真っ暗になって何も見えなくなり、ともすれば自分の姿形も認識し辛くなってしまう夜。
それは確かに子どもにとっては、大きな恐怖の対象にもなり得るものなのでしょう。
でも、染まりゆく空を真っ直ぐに仰いで、楽しかった今日をぐっと噛み締めれば。
夜を恐れないで、新しい明日をたのしみにして、眠りにつくことができるのではないでしょうか。
そんなふうに夜の闇を恐れず、明日をわくわくした気持ちで待ちながら眠りにつく。
歌詞のモチーフとなった亀田さんのお子さんにも、そんな時期があったのかもしれません。
透明人間のままで居たい
自分の手で、目で、確かめたいんだ
D G
僕は透明人間さ もっと透けて居たい
D G
本当はそう願っているだけ
D G A
何かを悪いと云うのはとても難しい
D G A
僕には簡単じゃないことだよ
出典: 透明人間/作詞:椎名林檎 作曲:亀田誠治
「もっと透けて居たい」=もっと子どものままでいたい、って願ったことはありませんか?
きっと誰しもが、一度は通ったことのある願いなのではないかと思います。
難しいことを考えたり、大変なことなんてしたくない。
ずっと楽しいことや嬉しいことで笑ったり、自分の好きなことだけ考えていたい。
そんな気持ちを抱えた人は、1人や2人ではないはずです。
でも、いつかは大人になることを内心ではわかっているんです。
「何かを悪いと云う」なんて、実は大人にも難しいことですよね。
だって世の中には、絶対に悪いものなんてないのですから。
誰かにとっての悪は誰かにとっての正義で、誰かにとっての正義は誰かにとっての悪。
大勢の人間が生きるこの世界では、善悪の価値観は非常に多種多様なものとなっているのです。
子どもの頃って、教わったルールの中で生きています。学校のルール、親に教わったルール。
それに反することが何となく悪いこと、と知っていても。
どうして悪いのか、上手く説明できないことも中にはあったりしますものね。
G E7 A F#7
一つ一つこの手で 触れて確かめたいんだ
Bm A6 G F# G F# G
鮮やかな色々
出典: 透明人間/作詞:椎名林檎 作曲:亀田誠治
だって、子どもの頃って自分が触れる範囲にある世界が全てなんです。
なのでその範囲外のことって、よくわからないままにしちゃったりもするんだと思います。
目の前にあるものを丁寧に、「一つ一つこの手で触れて確かめ」て。
その中でそれらの本当の形を知ったり、様々なものとの違いを知っていったり。
そうやって子どもたちは、少しずつ大人へと成長していくのではないでしょうか。
子どもは大人をよく見ているよ
A D G D Bm B♭m Am D
あなたが怒ったり泣いたり声すら失っ た と き
G D E7 A Bm7 A
透き通る気持ちを分けてあげたい の さ
D G D Bm B♭m Am D
毎日染まる空の短い 季 節
G D E A Bm7 A Bm
手を叩いて数えたら もうじきに 新 しくなるよ
出典: 透明人間/作詞:椎名林檎 作曲:亀田誠治
大人が、怒ったり、泣いたり、声すら失うほど落ち込んだ時。
親や家族、自分にとっての大切な人が、そんなふうに悲しみに打ちひしがれているのを見たら。
「どうしたの?」「大丈夫?」「悲しいの?」と心配になったり。
「笑って欲しい」「楽しくなって欲しい」と思うのが子ども心でしょうか。
「透き通る気持ちを分けて」あげたら、そんな風になれるかな、なんて考えて。
子どもながらに慰めたり、ちょっかいを出すんでしょうね。
悲しみでいっぱいの大人たちは、時として気付けないのかもしれませんが。
それらは子どもたちが子どもたちなりに考えた、大人たちを励ます健気な思いやりなのかも。
辛いことがあった日も、空が夕闇に染まれば、また新しい日が訪れるもの。
だからきっと明日は楽しく笑顔で笑えるよ。ほら、元気を出して!
子どもって案外優しいことも多くて。だから、明日は「あなた」と一緒に笑えるかな、なんて。
そんなふうに考えたりもするのかもしれませんね。