松田聖子6枚目のシングル「白いパラソル」
不安に揺れる乙女心を描いた楽曲
1981年7月21日、松田聖子の6枚目シングルとして発表された「白いパラソル」。
この年19歳になった彼女が少し大人の世界に足を踏み出す、最初の一歩となる曲です。
それまでは相手への気持ちを素直に歌い上げる感じの歌詞が主でしたが、この曲ではちょっと違います。
曲調は今までの路線を引き継ぎポップで明るくキュートなので、陰鬱な様子はまったくありません。
また、歌詞の締めが希望に溢れた語句であるため、さらっと聴くと今まで通り? という感じ。
しかし、今回は相手の気持ちがよく分からないという不安が綴られた歌詞になっています。
無邪気な恋を謳歌する時代からの卒業準備に入ったのかな、と思わせる楽曲です。
松本隆作詞では初のシングル
デビュー曲「裸足の季節」から5枚目になる前作「夏の扉」までの作詞は、三浦徳子が担当していました。
松田聖子と同時代のアイドルたちから、近年ではSexy Zoneなどへの歌詞提供をしている作詞家です。
詳しいことについては、最後の項目「松田聖子の魅力を掘り下げた記事は他にも♪」を参照してくださいね。
この「白いパラソル」から作詞担当が松本隆にバトンタッチするのですが、その詳細は次項で!
作詞:松本隆 作曲:財津和夫の大御所コンビ!
松本隆が作詞を手がけるようになったわけ
松本隆は、松田聖子が「裸足の季節」でデビューした当時から思っていたことがあるそうです。
「僕の詞は彼女の声質に合うのでは?」
松本隆の詞は非常に情緒的かつ繊細で、深い意味がこもったものばかり。
当時の松田聖子の歌唱の中から、それを歌いこなせるニュアンスを既に嗅ぎ取っていたのでしょう。
そして松田聖子のデビュー当時から関わっていたプロデューサーのオファーにより、この組み合わせが生まれました。
10代最後の年という節目をきっかけに、息の長い歌手としてのステップアップをしてほしいというプロデューサーの願い。
それが完全に実現したのが、次にリリースしたシングル「風立ちぬ」なのでした。
松本隆作詞の正式な第一作は「白い貝のブローチ」という作品です。
財津和夫のアルバムにも収録された「白いパラソル」
70~80年代のフォーク・ニューミュージック界の3大人気グループをご存知ですか?
谷村新司を擁する3人組のアリス、その頃は小田和正・鈴木康博の2人だったオフコース。
そして財津和夫のチューリップです。
「心の旅」「サボテンの花」といった楽曲は、多くのアーティストにカバーされていますね。
当時高校生だった筆者の周囲では、チューリップ派とオフコース派に大きく分かれていました。
「白いパラソル」は、財津和夫のセルフカバー的アルバム内にて英語詞で歌われています。
画像はそのアルバム『Z氏の悪い趣味(くせ)』のジャケット。
音源が見つからないため、ご紹介できないのが残念です。
切ない歌詞部分での表情にも注目!
当時のTV映像がありましたので、ご紹介しましょう。
不安な気持ちを歌う部分での表情がなんとも切なげです。

伸びやかでニュアンス溢れる歌声でしたね!
輝く夏の海辺の眩しさと、心をよぎる薄曇りのような不安が、頭の中で映像化できそうです。
この後、歌詞について詳しく解釈していきましょう。