『式』について
アルバム『XXL』収録
『式』は2017年6月にリリースされたアルバム『XXL』に収められています。
岡崎体育はこのアルバムで「オリコンアルバム週間ランキング6位以内、セールス10万枚以上」を達成することを目標として掲げていました。
オリコンのウィークリーチャートでは、初登場2位を記録。残念ながらアルバムの売上枚数は10万枚にまだ達していないようです。
しかし、岡崎体育への注目はどんどん高まっていますので、達成するのは時間の問題でしょう。
アルバムのリード曲
『式』『感情のピクセル』『Natural Lips』はアルバムのリード曲としてMVが制作されました。
『感情のピクセル』『Natural Lips』は、岡崎体育の音楽性の幅広さやユーモアを感じさせる曲でした。MVを見て思わず笑ってしまった方も多いのではないでしょうか。
しかし、そのような岡崎体育の「面白さ」を期待して『式』を聴くと、意外な印象を受けると思います。
『式』はおだやかな曲調とシンプルな構成、そして歌詞が心に染みる「まじめ」な曲です。
岡崎体育自身も完成までに2年かかったと語っています。この言葉を素直にとらえれば、思い入れのある力作だと感じるでしょう。
しかし、一筋縄ではいかない岡崎体育ですので真相はわかりません。そして、このようなことを考えてしまう時点で思うツボなのだと思います。
どちらにせよ、何度も聴きたくなる名曲であることに変わりはありません。
歌詞の意味に迫る
『式』のタイトルに込められた意味を深読み
「式」という言葉には、まず定まったやり方という意味があります。数学などの文字や数字であらわす「式」も思い浮かぶでしょう。
その中で、この楽曲で指している「式」は、入園式・入学式・結婚式・葬式などの行事や儀式のことだと思います。
また、「しき」という文字にはさまざまな漢字を当てはめることができるのです。
春・夏・秋・冬をあらわす「四季」、死ぬ時を意味する「死期」。そして、仏教の用語で物など目でとらえられものをあらわす「色」などがあります。
このように、『式』というタイトルに着目して歌詞の意味を考えるととても興味深いです。
鈍色の朝
相槌もでたらめ 鈍色の朝 わがままに 迷惑かけたいわけじゃないのに
出典: 式/作詞:岡崎体育 作曲:岡崎体育
「鈍色」は濃い灰色のことです。現代で葬式の色と言えば白と黒ですが、平安時代にはこの鈍色でした。
そのことから、これは「葬式の朝」をあらわしているのだと思います。「相槌もでたらめ」は親しい方の死によって心ここにあらずという状態なのではないでしょうか。
その大切な方を失った日に、人生のさまざまな場面を振り返っているのだと思います。
子供の頃を思い出す
保育園で汚い言葉を覚えて帰ってくるように 色んな色の絵具を脳みそに塗っていくみたいだ
出典: 式/作詞:岡崎体育 作曲:岡崎体育
「保育園」は入園式を想像させます。子どもの頃は、その良し悪しは別として友だちが使う言葉をどんどん吸収するものです。
その時のように、色々な言葉や記憶が頭の中を巡っている様子があらわされています。
鉄棒の香り冷たく 美しい名前は遠く 薄暮れに木霊して 約束を破って ひとり洟垂る僕を叱って
出典: 式/作詞:岡崎体育 作曲:岡崎体育