ずっとさ 自分と喋ってる
気分でいつも暮らしてるから
人はさ 難しいこと言う
どこまで 応えられてるのかな
出典: BABY/作詞:tofubeats 作曲:tofubeats
「自分と喋ってる気分」とはどのようなものでしょうか?
たくさんの人とコミュニケーションをとる明るい人物ではなさそう。
しかもずっとそんな気分で「いつも暮らしてる」とか。
ほとんど独り言?あるいは話す相手があまりいない?
難しいことを言っているのはむしろあなたでは?
心の中でそうツッコミを入れた私も「難しいこと言う」1人なのかも。
ただ登場人物は誰かが言う難しいことに応えようとしています。
しかも応えられているかどうか自分ではわからないわけですね。
不器用な男
ここにきて「これはトーフさん自身の個人的な心情の吐露では?」という見方が浮上します。
トーフさんは神戸在住のトラックメイカー。
コミュニケーションをとる相手はむしろ多いでしょう。
ただDTMによる音楽制作という性質上、人とのやりとりもパソコンが多いはず。
「自分と喋ってる気分」でいられる神戸というホームグラウンドで暮らしながらのお仕事……。
10代で石野卓球さん主催のイベントWIREにてDJ、森高千里さんとのコラボでメジャーデビュー。
さらにたくさんのゲストを迎えたメジャーアルバム『First Album』『POSITIVE』をリリース。
そんな華々しい経歴でも根底にあるのはインディーズ時代のアルバム『Lost Decade』。
「BABY」の収録アルバム『FANTASY CLUB』はメジャー2作品とは違って、本来の自分寄り。
難しい期待に応えられているのかな?という解釈が正解かどうかはまだわかりません。
いずれにしても登場人物は「不器用な男」ということになります。
自分と喋ってる?
どこか遠くに行きたいけれど
なぜか行けないのさ
わかってるふりをして
笑ってる君を見てる
優しいね
出典: BABY/作詞:tofubeats 作曲:tofubeats
とにかく抽象的な歌詞です。
どうして遠くに行けないの?
なぜ君は「わかってるふりをして笑ってる」の?
これではわかったふりもできません。
それでもあえてわかったふりに挑戦してみましょう。
1番の冒頭で「自分と喋ってる気分」と提示されたので、君とは自分のこと。
「わかってるふりをして笑ってる」のはトーフさん自身。
多くのゲストとコラボしたのが「わかってるふりをして笑ってる」状態。
派手にやり続けて遠くに行く方向性もあるけれど、なぜかできない。
そこまでは意味がつながります。でもそんな自分を見て優しいと感じるのは変ですね。
恋をした
ここは素直に君を女性と解釈するべきでしょう。
なぜか遠くに行けない登場人物の男性を見て、わかったふりをしながら笑う女性がいる。
そんな女性を見て優しいと思う男性。
つまり「不器用な男が恋をした」ということですね。
個人的な心情
あるいは「わかってるふりをして笑ってる君」とはトーフさんのリスナーのこと。
トーフさんはひたすら個人的な心情を歌詞にしたためた……という解釈もできそう。
例えば「BABY」の収録アルバム『FANTASY CLUB』以前のメジャー2枚をピエール瀧さん。
それ以前のインディーズアルバム『Lost Decade』を石野卓球さんと仮定します。
両者とも電気グルーヴです。
メジャー2枚を聴いたリスナーはわかったふりをして笑ってくれました。
でも本来のトーフさんは石野卓球さん寄りなのです。
「優しいね」と思うトーフさん。
どうですか?意味はつながらなくもない……ですよね。でも正解かどうかはわかりません。
基本は「不器用な男が恋をした」説でしょう。ただ他の解釈もできるほど抽象的ではあります。
どこに導かれる?
1番が終わると冒頭のサビが繰り返されます。相変わらずグルーヴィー。
ただ1番で「君とは誰なのか?」について想像を膨らませた後なのでかえって謎が深まります。
素直な解釈どおり君とは「不器用な男が恋をした」相手だとしても、どこに導かれる?
「恋人を見て優しい気持ちになる」という意味でしょうか?
よくわからないので、ひとまずわかったふりをして笑っておきましょう。
わかってる気分
ずっとさ 自分がわかってる
気分でいつも暮らしてたから
人がさ 難しいこと言うのも
そこまで 気にしてなかったから
どこか遠くに行ったところで
動けないのさ
笑ってるふりをして
泣いてる君を見てる
優しいね
出典: BABY/作詞:tofubeats 作曲:tofubeats
さあトーフさんからの答えが返ってきましたよ。
「わかった気分」になっていた私たちリスナー。
本当は「難しいこと」を言われていても「そこまで気にしてなかった」ですよね。